目次
コーポレートPPA事業者を選ぶ際は、「有名な会社だから」という理由だけで決めるのではなく、自社の拠点条件や電力使用量、求める契約形態に合っているかを確認することが重要です。大規模案件や信用力を重視するなら商社・大手電力系、発電所の開発力を重視するなら再エネ発電事業者系、設備投資や資金計画も含めて相談したいならリース会社系など、それぞれに強みがあります。複数社から見積もりを取り、料金だけでなく契約年数や追加性、解約条件まで比較したうえで選びましょう。
コーポレートPPAとは?まずは基本だけ押さえよう
コーポレートPPA(Corporate Power Purchase Agreement)とは、企業や自治体などの需要家が、発電事業者や小売電気事業者と長期の電力購入契約を結び、再生可能エネルギー由来の電力を調達する仕組みです。一般的には、需要家が太陽光発電設備などを自ら所有するのではなく、PPA事業者が設備を設置・所有し、需要家はそこで発電された電力を契約にもとづいて購入します。契約期間は長期にわたるケースが多く、設置場所や電力・環境価値の受け取り方によって、オンサイトPPAやオフサイトPPA、バーチャルPPA(vPPA)など複数の形態があります。
本記事では以降、こうした基礎知識を前提として、主要9社の対応するPPA形態や事業規模、強み、契約面の特徴などを比較していきます。
▼ 料金の仕組み・導入の流れなど、コーポレートPPAの仕組みを詳しく知りたい方はこちら
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コーポレートPPA事業者を比較する5つの判断基準
事業者比較にあたり、本記事では以下5つの基準で各社を評価します。特定の基準に偏らず、自社の状況に合わせて重視するポイントを選んでください。- 対応する契約形態:オンサイトPPA・オフサイトPPA(フィジカル/バーチャル)のうち、どこまで対応できる事業者かを確認します。屋根や土地の有無によって、選べる事業者が変わります。
- 供給実績・事業規模:これまでの稼働案件数や供給容量、親会社の資本力を見て、長期契約を任せられる事業者かどうかを判断します。
- 価格・契約条件の柔軟性:契約年数や途中解約の可否、料金プランの選択肢の広さを見て、自社の事業計画に無理なく合わせられるかを確認します。
- 追加性への対応:新しく発電所をつくって供給する契約かどうか(=「追加性」があるかどうか)を確認します。既存の発電所からの証書だけを買う契約に比べ、新設電源からの調達はRE100などで評価されやすくなります。
- 周辺事業との連携力:蓄電池・自己託送・電力使用状況のモニタリングなど、脱炭素関連の周辺サービスと組み合わせやすいかを確認します。
主要9社の特徴を比較
今回比較する9社は、以下のとおりです。これらは、すべて同じタイプの事業者ではありません。総合商社グループや大手電力会社系、小売電気事業者、再エネ発電事業者、リース会社など、それぞれ異なる強みを持っています。
まずは、今回比較する9社を事業者のタイプごとに整理してみましょう。
| 事業者カテゴリ | 該当する事業者 | 主な特徴 |
|---|---|---|
| 総合商社グループ系 | 丸紅新電力 | 商社グループの調達力・資本力を活かした大規模な再エネ調達 |
| 独立系エネルギー事業者 | Looop、しろくま電力 | オンサイト・オフサイトPPAや蓄電池などを柔軟に組み合わせやすい |
| 大手電力・インフラグループ系 | 東京電力エナジーパートナー、NTTアノードエナジー、関西電力 | 大規模案件への対応力や、電力・インフラ事業で培ったノウハウが強み |
| 再エネ発電事業者系 | 自然電力、ENEOSリニューアブル・エナジー | 発電所の開発・保有・運営を強みとし、新設再エネ電源からの調達を相談しやすい |
| 金融・リース会社系 | 東京センチュリー | 設備導入だけでなく、資産管理やファイナンスも含めて相談しやすい |
※上記の分類は、各社の事業内容やグループとしての特徴をもとに、本記事で比較しやすいよう整理したものです。事業内容によっては複数のカテゴリにまたがる場合があります。
たとえば、大規模な電力調達やグループとしての信用力を重視するなら商社系・大手電力系、発電所の開発段階から相談したいなら再エネ発電事業者系、設備投資や資金計画も含めて検討したいならリース会社系が候補になります。以下では、それぞれの事業者について詳しく見ていきましょう。
丸紅新電力(丸紅グループ)
丸紅新電力は、総合商社・丸紅の中期経営戦略「GC2027」のもと再エネ事業を推進しており、2030年度をめどに500万kW程度の再エネ電力供給を目標に掲げています(※1)。オフサイト型コーポレートPPAでは、太陽光発電所で発電した電力を特定卸事業者(アグリゲーター)としてとりまとめ、需要家へ供給するスキームを採用しており、HOYAやコシダカなど、離れたエリアをまたいだ「エリア跨ぎ」の供給実績もあります(※2,3)。なお、丸紅グループの再エネ電力販売窓口(丸紅ソーラー)の「環境価値付き電力」メニューでは「現在新規のお申込みを一時停止しております」と明記されています(※4)。一方、丸紅新電力本体のオフサイトPPAは2026年もHOYA・髙島屋・コシダカなど大型案件を継続しており、法人向けオフサイトPPAは個別相談ベースで受付中の可能性があります。検討時は直接問い合わせることを推奨します。
★こんな企業におすすめ:複数拠点・広域エリアにまたがる大規模需要があり、商社グループの調達力・与信を重視する企業。ただし新規受付状況は都度要確認です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 提供スキーム | オフサイトPPA(フィジカル)・バーチャルPPA・非化石証書付与 |
| 特徴 | 総合商社系。エリア跨ぎ・複数発電所アグリゲートに強く、2025〜2026年も髙島屋・京王電鉄・HOYAなど大型案件を継続。 |
| 電源種 | 太陽光中心(一部風力・地熱も案件あり) |
| 対象 | 高圧・特別高圧需要家中心。商業施設・百貨店・製造業など。 |
| 契約期間 | 10〜20年(案件による) |
| 強み | 大規模・複数拠点向けアグリゲート実績が豊富。エリア跨ぎ対応可能。 |
| 課題・注意点 | 小規模案件には向かない |
※1 出典:丸紅新電力「丸紅新電力とHOYAがオフサイトPPAを締結」
※2 出典:丸紅新電力「丸紅新電力株式会社と株式会社コシダカによるエリア跨ぎを活用したオフサイトコーポレートPPAによる再生可能エネルギー電力の導入について」
※3 出典:丸紅新電力「丸紅新電力とHOYAがオフサイトPPAを締結」
※4 出典:丸紅ソーラー「再エネ電気を買いたい方(オフサイトコーポレートPPA/環境価値付き電力)」
Looop(株式会社Looop)
Looopは2011年設立の独立系エネルギー事業者で、Looopでんきや家庭用蓄電池事業などで培った知見を活かし、RE100加盟企業や脱炭素経営を進める法人向けにオンサイトPPA・オフサイトPPAの両方を提案しています(※5)。屋根や土地を保有していない企業に対しては、用地調達からサポートする体制も強みです。さらに2026年には、中部電力ミライズとの合弁で第三者所有型(TPO-PPA)の太陽光自家消費サービス「Zero Roofs(ゼロ ルーフス)」を全国の法人顧客向けに展開しており、地域電力大手との連携によってサービス提供エリアを拡大している点が特徴です(※6)。資本金は66.8億円(2026年1月時点)、2025年3月期の売上高は505億円と、独立系事業者としては規模のある企業です(※7)。
注意点として、Looopは電力小売り(Looopでんき)を軸に急拡大してきた企業であり、PPA事業単体での長期の稼働実績年数は、電力会社系の老舗事業者に比べるとまだ蓄積途上にあります。契約前には、担当拠点における具体的な稼働案件数や保守体制を確認することをおすすめします。
★こんな企業におすすめ:屋根や土地を自社で保有しておらず、用地探しから相談したい企業。地域電力(中部電力ミライズなど)との連携メニューに関心がある企業。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 提供スキーム | オンサイトPPA・オフサイトPPA・系統用蓄電所 |
| 特徴 | 再エネ専業。Zero Roofs(中部電力ミライズ合弁)でTPO-PPAも展開。全国展開で小規模〜MW級まで対応。 |
| 電源種 | 太陽光中心(蓄電池併設も可) |
| 対象 | 工場・倉庫・物流施設など屋根・土地活用型。RE100企業も。 |
| 契約期間 | 10〜20年(標準) |
| 強み | 蓄電池併設でBCP強化も可能。小規模案件にも柔軟対応。 |
| 課題・注意点 | 大規模オフサイト案件は他社に比べ実績が少ない可能性。 |
※5 出典:Looop「オンサイト/オフサイトPPA」
※6 出典:Looop「再エネ事業(オンサイト/オフサイトPPA/系統用蓄電所)」
※7 出典:Looop「Looopでんきとは」
しろくま電力(しろくま電力株式会社)
しろくま電力(旧afterFIT)は2016年設立、資本金9,900万円のグリーン電力専業企業です(※8)。コーポレートPPAでは、しろくま電力が無償で太陽光発電設備を設置し、需要家は発電された電力を固定単価で購入する仕組みで、オンサイト・オフサイト双方に対応しています(※9)。最大の特徴は、系統用蓄電池事業を業界内でも積極的に展開している点です。同社は資源エネルギー庁公表データをもとに独自試算した蓄電池シェアを公表しており、東京都の系統用大規模蓄電池導入促進事業の第一号案件を2024年12月に運転開始するなど、蓄電池関連の実績を重ねています(※10)。太陽光と蓄電池を組み合わせた提案力は、他のPPA専業事業者と比べた際の強みといえます。
一方で、資本金は9,900万円と丸紅新電力やNTTアノードエナジーのような大企業グループ系に比べると規模は小さく、公表しているシェア数値も「2026年に事業化された場合の試算」という前提つきの独自算出である点には留意が必要です(※9)。大企業グループの信用力を最優先したい場合は、他社との比較検討をおすすめします。
★こんな企業におすすめ:太陽光PPAと蓄電池活用(BCP対策・出力制御対策)をセットで検討したい企業。中小規模拠点でスピーディに導入したい企業。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 提供スキーム | オフサイトPPA(地域電力・発電事業者と連携) |
| 特徴 | 地域密着型。東北電力・ユーラスエナジーなどと組み、セブン‐イレブン東北1,800店舗向け風力・太陽光複合案件など。 |
| 電源種 | 風力・太陽光 |
| 対象 | 小売チェーン・地域拠点を持つ法人。低圧〜高圧まで対応。 |
| 契約期間 | 25年(セブン‐イレブン事例) |
| 強み | 地域電力との連携で安定供給。小売チェーン向け大量店舗対応実績。 |
| 課題・注意点 | 東北エリア中心で全国展開は限定的。 |
※8 出典:しろくま電力「企業情報」(イプロス掲載)
※9 出典:しろくま電力「コーポレートPPA事業」
※10 出典:しろくま電力「しろくま電力、東京都『系統用大規模蓄電池導入促進事業』の第一号案件を2024年12月に運転開始」
東京電力エナジーパートナー(東電EP)
東京電力エナジーパートナーは、オンサイト型・オフサイト型双方のコーポレートPPAに加え、2023年7月には再エネ電力とその他電源に環境価値を付加した電力をセットで提供する「オフサイトフィジカルコーポレートPPA」メニューを新設しています(※11)。三井住友銀行向けの5MW級太陽光発電所新設案件(国内オフサイトコーポレートPPAの先駆的事例)や、三井不動産グループとの提携による国内最大級規模の展開など、大規模・長期の実績が豊富です(※12)。大手電力会社系ならではの安定した供給力・信用力が強みですが、その分、案件規模は大規模施設・大企業向けが中心となる傾向があります。中小規模の1拠点だけを対象にしたPPAを検討している場合、他の専業事業者のほうが柔軟に対応できるケースもあるため、規模感が自社に合うかを確認しておくとよいでしょう。
★こんな企業におすすめ:複数の大規模施設を保有し、大手電力会社の供給安定性・実績を重視する企業。不動産・商業施設運営会社。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 提供スキーム | オンサイトPPA・オフサイトPPA(フィジカル・バーチャル) |
| 特徴 | 東電グループ小売会社。2023年より三井住友銀行向けオフサイトPPA開始。2026年も水力・太陽光で案件継続。 |
| 電源種 | 太陽光・水力 |
| 対象 | 高圧・特別高圧需要家。金融・商業施設・データセンターなど。 |
| 契約期間 | 10〜15年(標準) |
| 強み | 東電グループの安定供給力。水力で天候依存低減。 |
| 課題・注意点 | 関東エリア中心で他地域は連携事業者依存。 |
※11 出典:東京電力エナジーパートナー「オフサイトフィジカルコーポレートPPAによる再エネ由来の電力を大型商業施設『プレナ幕張』に導入」
※12 出典:三井不動産「三井不動産×東京電力エナジーパートナー 新規太陽光発電による再エネ導入拡大に向けて事業提携」
NTTアノードエナジー
NTTアノードエナジーは、NTTグループの再エネ事業を担う企業で、2021年6月にセブン&アイグループとの協創プロジェクトとして国内初のオフサイトPPAサービスを実現した実績があります(※13)。従来の長期契約型に加え、2025年11月からは短期契約型のオフサイトPPAサービスも開始しており、契約形態の柔軟性を広げている点が近年の特徴です(※14)。NTTグループとしての通信インフラ・データセンター運用ノウハウを背景に、都市部オフィスビルへの導入事例(NTT西日本本社ビル、品川シーズンテラスなど)が豊富です(※15)。一方で、短期契約型サービスは2025年11月が「初の導入事例」であり、長期契約型に比べるとまだ実績数が少ない新しいメニューである点は理解しておく必要があります。
★こんな企業におすすめ:都市部オフィスビル・データセンターなど、屋根面積が限られる施設で追加性のある再エネを調達したい企業。短期間だけ試験的に導入したい企業。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 提供スキーム | オンサイトPPA・オフサイトPPA・電力小売(コーポレートPPA) |
| 特徴 | NTTグループ。2021年国内初オフサイトPPA(セブン&アイ)実現。敷地内・敷地外両対応でBCP強化も可能。 |
| 電源種 | 太陽光中心 |
| 対象 | 小売チェーン・物流・製造業。低圧〜特別高圧まで幅広く対応。 |
| 契約期間 | 10〜20年(標準) |
| 強み | 国内初オフサイトPPA実績。NTTグループのBCP・レジリエンス強化も可能。 |
| 課題・注意点 | 太陽光中心で電源多様性は他社に劣る。 |
※13 出典:NTTアノードエナジー「電力小売」
※14 出典:株式会社ソルコム・NTTアノードエナジー「ソルコムがオフサイトPPAによる非FIT再エネ電力を導入」
※15 出典:SDGs MEET「NTT西日本とNTTアノードエナジー、本社4棟でオフサイトPPA導入」
自然電力
自然電力は2011年設立の再エネ発電事業者(IPP)で、太陽光・風力発電所の開発・運用実績を土台に、オフサイトPPA(フィジカルPPA・バーチャルPPAの両方)を提供しています。GAFAMに代表されるグローバルテック企業への導入実績があり、国内にとどまらず東南アジア・南米・オセアニアでの発電所開発ノウハウを活かして、海外拠点を含むScope2削減の相談にも対応できる点が特徴です(※16)。自社が公表する国内オフサイトPPAの実績は、バーチャルPPA5件・フィジカルPPA1件の計116MW(2025年6月時点)です(※17)。丸紅新電力や東京電力EPのような電力会社・商社系と比べると案件規模はまだ大きくありませんが、発電所の開発段階から一貫して手がける「発電事業者系パイオニア」としての立ち位置が強みです。
★こんな企業におすすめ:海外拠点を含めグローバルにScope2削減を進めたい企業。発電所の開発段階から直接相談したい企業。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 提供スキーム | オフサイトPPA・バーチャルPPA・再エネアグリゲーション |
| 特徴 | 再エネ専業。2026年に再エネアグリゲーション本格強化(2035年累計1GW目標)。GoogleとのVPPAなどグローバル案件も。 |
| 電源種 | 太陽光・風力・バイオマス |
| 対象 | RE100・SBT要件を持つ大手・グローバル企業。 |
| 契約期間 | 10〜20年(VPPAは15年事例も) |
| 強み | グローバル企業向けVPPA・アグリゲーションに強い。電源多様性が高い。 |
| 課題・注意点 | 小規模案件には向かない場合あり。専業のため資金面で商社系に劣る可能性。 |
※16 出典:自然電力「オフサイトPPA」
※17 出典:自然電力「日本におけるオフサイトPPA市場」(自然エネルギー財団RE Users Summit発表資料、2025年6月)
ENEOSリニューアブル・エナジー(ENEOS系)
ENEOSリニューアブル・エナジーは、ENEOSグループの再エネ発電事業会社です。太陽光・陸上風力・洋上風力・バイオマスなど、自社が開発・保有・運営する多様な電源から、電力と環境価値をセットで供給するフィジカルPPAと、環境価値のみを提供するバーチャルPPAの両方を、オフサイトPPAとして展開しています(※18)。石油元売り大手ENEOSグループの資本力・エネルギー事業ノウハウを背景に、「国内最大規模の再生可能エネルギーの発電事業者」を自称するほどの開発規模を持つ点が特徴です。発電事業者としての規模は大きい一方、需要家との接点はオフサイトPPA中心で、丸紅新電力や東京電力EPのような小売電気事業者としての窓口の広さとは性質が異なります。屋根・敷地内に設置するオンサイトPPAを検討している場合は、対応可否を個別に確認する必要があります。
★こんな企業におすすめ:ENEOSグループとの既存取引があり、大規模な電源開発力を持つ事業者から長期・安定的にオフサイト調達したい企業。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 提供スキーム | オフサイトPPA(フィジカル)・バーチャルPPA |
| 特徴 | ENEOSグループ再エネ事業会社。2026年にエクイニクス・日本精工と大型VPPA締結。蓄電池併設型太陽光にも強い。 |
| 電源種 | 太陽光・風力・バイオマス・蓄電池併設 |
| 対象 | データセンター・製造業・鉄道など大規模需要家。 |
| 契約期間 | 15年(VPPA標準) |
| 強み | 蓄電池併設型太陽光・大規模VPPAに強く、データセンター・製造業向け。 |
| 課題・注意点 | 小規模案件には対応していない可能性。 |
※18 出典:ENEOSリニューアブル・エナジー「オフサイトPPA」
関西電力(法人向けオフサイトPPA)
関西電力は、法人向けソリューションサイト内で「オフサイトPPA(フィジカルPPA)」を専用メニューとして展開しています。需要家専用の太陽光発電設備を敷地外に新設し、標準20年の契約期間にわたって固定単価で電力を供給する仕組みで、新規に再エネ電源をつくる「新規追加性」やRE100への適合を明記している点が特徴です(※19,20)。東京電力EPと並ぶ大手電力会社系の事業者で、供給の安定性という点では安心感がありますが、単価は契約期間中固定ですが、法令や託送制度の変更等により見直しとなる可能性がある点は、他の大手電力系PPAと共通の留意事項です。関西エリアを中心とした事業展開に強みがあり、全国対応の可否は個別確認が必要です。
★こんな企業におすすめ:関西エリアに主要拠点があり、大手電力会社の供給実績・信頼性を重視する企業。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 提供スキーム | オフサイトPPA(フィジカル)・原子力・水力PPA(2026年7月窓口開設) |
| 特徴 | 地域電力会社。2026年に原子力・水力を活用したオフサイトPPA窓口を国内初開設。太陽光・風力も多数案件。 |
| 電源種 | 原子力・水力・太陽光・風力 |
| 対象 | 高圧・特別高圧需要家。鉄道・商業施設・製造業など関西中心に全国。 |
| 契約期間 | 10〜20年(標準) |
| 強み | 原子力・水力を活用した安定脱炭素電源(国内初)。 |
| 課題・注意点 | 原子力への抵抗感を持つ企業も。関西エリア中心で他地域は連携事業者依存。 |
※19 出典:関西電力「オフサイトPPA(フィジカルPPA)」
※20 出典:関西電力「既設の原子力・水力発電所を活用したオフサイト型コーポレートPPA(フィジカルPPA)の実現に向けたお問い合わせ窓口の開設について」(2026年7月9日プレスリリース)
東京センチュリー
リース大手の東京センチュリーは、工場や施設の屋根・敷地に太陽光発電システムを設置し、発電した電力を供給するオンサイト型コーポレートPPAを提供しています(※21)。サービス料金の単価は契約期間中原則固定で、リース会社ならではの資産管理・ファイナンスに関するノウハウが強みです。公開情報からは、電力専業事業者に比べてオフサイトPPAや短期契約など多様なメニューの詳細が確認しにくく、対応範囲を個別に問い合わせる必要がある点は留意しておきましょう。
★こんな企業におすすめ:既存のリース・ファイナンス取引があり、設備投資全体を含めて相談したい製造業・物流業の企業。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 提供スキーム | オンサイトPPA(自家発電サポートサービス)・寄付型PPA |
| 特徴 | リース系金融・サービス企業。初期投資ゼロで屋根・敷地に太陽光設置。2023年よりJFEエンジニアリングと新会社(アーバンエナジーPV)で国内PPA事業展開。 |
| 電源種 | 太陽光(次世代太陽電池・カーポート型も含む) |
| 対象 | 工場・倉庫・商業施設。低圧〜高圧まで幅広く対応。SDGs・寄付型に関心のある法人。 |
| 契約期間 | 10〜20年(標準) |
| 強み | 初期投資ゼロ・寄付型PPAでSDGs貢献も可能。 |
| 課題・注意点 | 太陽光中心で電源多様性は他社に劣る。オフサイトPPAは他社連携依存。 |
※21 出典:東京センチュリー「コーポレートPPAサービス」
比較早見表
第2章で挙げた5つの判断基準をもとに一覧表に整理しました。契約形態や強み、留意点をまず一覧でつかみたい方は、こちらの表をご確認ください。| 事業者 | 主な契約形態 | 特徴・強み | 留意点 |
|---|---|---|---|
| 丸紅新電力 | オフサイト(フィジカル) | 商社グループの資本力、エリア跨ぎ対応 | 新規オフサイトPPA受付を一時停止中(※) |
| Looop | オンサイト/オフサイト | 用地調達サポート、独立系のスピード感 | PPA単体の稼働実績年数は蓄積途上 |
| しろくま電力 | オンサイト/オフサイト | 系統用蓄電池との組み合わせ提案力 | 資本金規模は相対的に小さい |
| 東京電力EP | オンサイト/オフサイト(フィジカル) | 大手電力の供給安定性、大規模案件実績 | 中小規模1拠点には不向きな場合あり |
| NTTアノードエナジー | オフサイト(長期・短期) | 都市部オフィス実績、短期契約メニュー新設 | 短期型は実績がまだ少ない |
| 自然電力 | オフサイト(フィジカル/バーチャル) | GAFAM級のグローバル実績、発電開発の一貫対応 | 国内案件規模は電力会社系より小さい |
| ENEOSリニューアブル・エナジー | オフサイト(フィジカル/バーチャル) | ENEOSグループの資本力、国内最大級の開発規模 | オンサイト対応は要個別確認 |
| 関西電力 | オフサイト(フィジカル) | 大手電力系の供給安定性、新規追加性を明記 | 関西エリア中心、単価見直しの可能性あり |
| 東京センチュリー | オンサイト | リース・ファイナンスとの一体提案 | オフサイト対応の詳細は要問合せ |
※本表は2026年8月時点の公開情報にもとづく整理です。契約条件や受付状況は変更される可能性があるため、最終的な判断の際は必ず各社の公式サイト・見積もりで最新情報をご確認ください。
※出典:丸紅ソーラー「再エネ電気を買いたい方(オフサイトコーポレートPPA/環境価値付き電力)」
導入検討の流れと注意点
コーポレートPPAは一般的に15〜20年程度の長期契約になることが多く(※)、途中解約に制限があるケースも珍しくありません。以下の流れで慎重に検討することをおすすめします。- 自社の使用電力量・拠点の屋根/土地条件を整理する
- 重視する基準(価格・追加性・実績・柔軟性)に優先順位をつける
- 複数社から見積もり・契約条件(単価、契約年数、解約条項)を取得する
- 非化石証書の種別(FIT/非FIT)と追加性の有無を確認する
- 社内の脱炭素目標(RE100、SBTなど)との整合性を確認する
※出典:環境省・みずほリサーチ&テクノロジーズ「オフサイトコーポレートPPAについて」
よくある質問(FAQ)
Q1.コーポレートPPAとPPA型太陽光発電(自家消費)は何が違いますか?
A1.どちらも第三者所有モデルという点は共通しますが、コーポレートPPAはオンサイト(自社敷地内)だけでなく、オフサイト(遠隔地の発電所)も含む広い概念です。屋根や土地がない企業でも、オフサイトPPAであれば再エネ電力を調達できます(※1)。※1 出典:丸紅新電力「オンサイトPPAの仕組みやオフサイトPPAとの違いをわかりやすく解説」
Q2.初期費用は本当にゼロですか?
A2.多くの事業者でオンサイトPPAは初期費用ゼロを掲げていますが、契約年数・単価・撤去費用の扱いなどは事業者ごとに異なります。必ず契約書ベースで確認しましょう。Q3.追加性がある事業者を選ぶメリットは何ですか?
A3.RE100やCDPなど国際的な環境イニシアチブでは、新規の再エネ電源開発につながる「追加性」のある調達が評価される傾向にあります(※2)。新設の太陽光発電所からのオフサイトPPAは、追加性の観点で説明しやすい調達方法です。※2 出典:環境省・みずほリサーチ&テクノロジーズ「オフサイトコーポレートPPAについて」(2025年2月更新版)