- 太陽光パネル
- 2026.01.27 更新
《海外》ハンファQセルズ、月面の宇宙太陽光発電実証に次世代セルを供給|NASA支援プロジェクトの最新動向
ハンファソリューションズのQセルズ部門が、次世代型の太陽電池「ペロブスカイト・タンデムセル」を、月面実証プロジェクトに提供すると発表しました。アメリカのジョージア工科大学が主導する、NASA支援のプロジェクトです。月面探査機にこのセルを取り付けて送り、地球とはまったく違う環境でどれだけ性能を保てるかをテストします。
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目次
ハンファQセルズ、月面の宇宙太陽光発電実証にタンデムセルを供給
ハンファソリューションズのQセルズ部門(以下、ハンファQセルズ)は、次世代型の太陽電池「ペロブスカイト・タンデムセル」(以下、タンデムセル)を、月面で行われる宇宙太陽光発電の実証プロジェクトに提供すると発表しました。地上向けに商品化を目指し、近年開発が進められているこのタンデムセルが、宇宙という特殊な環境でどこまで力を発揮できるのかを確かめるのが今回の目的です。今後さらに広がっていくと見られる宇宙太陽光市場をにらみ、ハンファQセルズは宇宙向けの次世代技術開発に本格的に力を入れていく方針です。
- コラム
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そもそも「宇宙太陽光発電」って何?宇宙太陽光発電(Space Solar Power)とは、地球の軌道上や月面など、宇宙空間で太陽光発電を行う技術のことです。地上のパネルは夜間や悪天候時には発電できませんが、宇宙には大気や雲、夜がない場所もあるため、理論上は24時間安定して発電できると考えられています。

将来的には、宇宙で発電した電力をマイクロ波やレーザーに変換して地球に送り、地上のアンテナで受け取って利用する構想もありますが、実用化はまだ先の話です。今回のプロジェクトは、その実現に向けた土台となる「宇宙環境でどれだけ性能を維持できるか」を確かめる、初期段階の実証実験にあたります。
タンデムセルって何?二層構造で発電量アップの仕組み
タンデムセルとは、簡単に言うと「二層」になっている太陽電池のことです。上の層に「ペロブスカイト」という材料、下の層に従来からある「シリコン」を使い、それぞれ違う種類の光を受け止めて発電します。1種類の材料だけで作る従来のシリコンセルに比べて、同じ面積でより多くの電気を生み出せるのが特徴で、太陽光業界では「次世代の決め手になる技術」として期待されてきました。NASA支援の月面実証プロジェクト、何をテストするの?
今回タンデムセルのサンプルを提供する先は、アメリカのジョージア工科大学の研究機関GTRI(Georgia Tech Research Institute)が参加する「SSTEF-1」というプロジェクトです。資金はNASAが提供し、アメリカのイージス・エアロスペース社が全体を取りまとめており、宇宙向け太陽光技術を一歩前に進めることを目指しています。GTRIは、月面を走る探査機の表面にタンデムセルのサンプルを取り付け、真空状態、激しい温度変化、強い紫外線や宇宙放射線といった、地球上では再現できない環境でのデータを集める予定です。研究を率いるのは、GTRIの主任研究技術者でジョージア工科大学宇宙研究所の責任者でもあるW・ジャッド・レディ氏です。
なお、今回提供されるタンデムセルは、ハンファQセルズドイツのタルハイム研究開発センターが独自技術で作ったものです。
地上用モジュールも世界初の国際認証を取得
世界初の認証取得とその意味
宇宙向けの取り組みと並行して、ハンファQセルズは地上用のタンデムモジュール(セルを組み合わせて作る太陽電池パネルの本体部分)についても、IEC(国際電気技術委員会)関連の規格に基づく認証を取得したと発表しました。ペロブスカイトを使ったタンデムモジュールとしては、世界初の認証取得です。太陽電池パネルは、セルをただ並べただけのものではなく、電気をつなぐ部品や、雨風から守る素材、ガラスなど、いくつもの部品や工程を組み合わせて作られています。そのため「モジュール全体としてちゃんと長持ちするか」を確かめる検証は、製品化に欠かせない重要なステップです。今回の認証取得は、ハンファQセルズのタンデム技術が「セル単体での高性能」を実証する段階から、「実際に商品として売れる耐久性・品質」を証明する段階に進んだことを意味しています。
具体的にどんなテストに合格したの?
タンデムセルは、上の階(ペロブスカイト)と下の階(シリコン)でそれぞれ違う光を受け止める構造のため、従来のシリコンだけのモジュールとは違うテスト方法が必要になります。ハンファQセルズは、複数の層を持つ太陽電池の性能を測るための国際規格「IEC TS 60904-1-1」と、地上用太陽光モジュールの設計品質を定める「IEC 61215-2:2021」「UL 61215-2:2021」、この2つの規格を同時にクリアした、世界初のケースとなりました。テストは、太陽光分野で世界的に知られる認証機関TÜV Rheinland(テュフ・ラインランド)が実施し、強い紫外線への耐性、振動などの機械的な負荷、高温・低温を繰り返す熱サイクル、高温多湿への長期間の耐性、湿気を含んだ状態での凍結への耐性、そしてこれらを組み合わせた総合テストなど、実際の使用環境で起こりうる過酷な条件をすべてクリアしています。
さらに、ドイツ国内の同社研究開発センターと第三者の実証施設では、それぞれ約1年間・6カ月間にわたって実際に屋外で稼働させ、安定した発電を確認できているということです。
ハンファQセルズCEOのコメントと今後の見通し
「宇宙太陽光発電は、地上の太陽光発電では限界がある電力需要の増加に応えられる、未来のエネルギー源です。それだけでなく、AIデータセンターや防衛、通信といった、国の安全保障にも関わる重要な産業に大きな影響を与える分野でもあります」と話すのは、ハンファQセルズのパク・スンドクCEO。太陽光パネルの製造で積み重ねてきた技術力と市場での強さを土台に、宇宙太陽光発電の時代を切り開くグローバル企業へと成長していく考えを示しています。
地上用のタンデム製品は2029年の商品化を目標としており、今後はこの技術を宇宙太陽光発電にも積極的に活かしていく方針です。
まとめ
ハンファQセルズは、月面での実証によって宇宙という特殊な環境でのデータを集めながら、地上用モジュールでは世界初の国際認証取得という形で、足元の品質の高さも証明しました。宇宙と地上、両方の舞台で次世代技術をリードしようとする今回の動きは、これからの太陽光発電業界全体の競争にも影響を与えそうです。2029年に予定されている地上用タンデム製品の商品化に向けて、今回の実証データがどのように活かされていくのか、引き続き注目していきましょう。
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