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太陽光発電の火災リスクはどのくらい?確率・原因・事例をデータで解説

太陽光発電の火災リスクはどのくらい?確率・原因・事例をデータで解説

「太陽光パネルを設置したいけど、火災が心配」という声はよく聞きます。実際のデータを見ると、全国約237万棟の設置に対して直近9年間の火災件数は127件とされています。NITE(製品評価技術基盤機構)や消防庁が公表するデータをもとに、火災の原因・実際の事例・今日からできる予防策を、この記事で整理していきましょう。

【この記事の結論】
太陽光発電の火災発生確率は0.005%(約2万分の1)程度とされており、感覚的に抱きやすい不安に比べると、実際のリスクはかなり低い水準といえます。

発火原因の約70%は、パワーコンディショナの経年劣化や設置環境の不備によるものです。パネル自体が突然発火するケースは、全体から見れば少数派にとどまります。

また、「太陽光パネルの火災は水で消せない」という情報が広まっていますが、これは誤りです。消防庁は霧状放水による消火が可能であることを明示しています。

リスクを抑える上で重要なのは、次の2点です。

  • 信頼できる施工業者を選ぶこと
  • 4年ごとを目安に定期点検・メンテナンスを行うこと

この2つを徹底することで、主要なリスクの多くは事前に防ぐことができます。

太陽光発電の火災、実際の発生件数と確率

「太陽光パネルを設置すると火災のリスクが上がるのでは」という不安は、よく聞かれます。実際のデータを見ると、その印象は少し変わってきます。まずは発生件数と確率から確認していきましょう。

全国237万棟に対して火災は何件か

消費者庁の調査によると、住宅用太陽光発電システムの累積設置軒数は約237万棟(2017年11月時点)。これに対し、2008年3月から2017年11月までの約9年間に、太陽光パネルまたはケーブルが原因とされる火災は127件確認されています(※)。

127件と聞くと、「意外と多い」と感じる方もいるかもしれません。ですが設置棟数全体で割ると、確率は約0.005%。これは約2万棟に1棟という、かなり低い水準です。

0.005%という数字はどう受け取ればよいか

0.005%という数字は、感覚的には「ほぼゼロ」と言ってよいレベルです。とはいえ、「ゼロではない」という点も無視できません。

ここで押さえておきたいのが、この数字はあくまで2008年から2017年までに登録された火災を対象にした調査結果であり、施工品質や点検状況を問わない平均値だということです。実際の火災リスクは、施工不良の有無や設置後のメンテナンス状況によって、個々のケースで大きく変わってきます。

つまりこの確率を知る本当の意味は、「リスクを軽く見るため」ではなく、「どこに注意すれば予防につながるのかを見極めるための材料にする」ことにあるのです。

※出典:消費者庁「住宅用太陽光発電システムから発生した火災事故等」事故等原因調査報告書(2019年1月28日公表)

太陽光発電の火災が起きる3つの原因

火災発生率が低いとはいえ、原因を理解しておくことは予防に直結します。NITEの分析によると、発火箇所は大きく3つに集約されます。

太陽光発電の火災 3つの原因

パワーコンディショナ(パワコン)

最も多いのはパワーコンディショナからの発火で、火災原因全体の約7割を占めています(※1)。

パワーコンディショナは直流を交流に変換する装置で、常に熱と湿気というストレスにさらされ続けています。発火に至る経路は主に2パターンです。

  • トラッキング現象
    基板にほこりや湿気が付着し、それが導電性を帯びることで電気が流れ、発熱・発火へとつながる現象です。脱衣所のような湿気の多い場所への設置で、特によく見られます。

  • コンデンサの絶縁破壊
    使用年数が長くなるにつれて内部の絶縁材が劣化し、そこから漏電、そして発火に至るパターンです。設置から10年以上が経過した機器で起こりやすいとされています。

パワーコンディショナの寿命は、目安として10〜15年とされることが一般的です。この年数を超えてくる場合は、点検の頻度を上げておくと安心です。

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太陽電池モジュール(飛来物・ホットスポット)

発火原因の約2割弱を占めるのが、太陽電池モジュールです(記事内では「パネル」と同じ意味で使っています) 。パネル素材自体は燃えにくく作られているため、単独で燃え広がるリスクは低いとされています。ただ、火災につながる経路は2つ存在します。

  • ホットスポット現象
    パネルの一部だけ影や汚れが偏ると、その部分に電流が集中して局所的に熱を持ちます。鳥のふんや落ち葉が長期間そのままになっているケースで起きやすく、熱を持った部位から端子ボックスへ燃え広がることもあります。

  • 飛来物による破損
    台風や強風で飛んできた物体がパネルを傷つけると、そこから通電異常が起き、発熱が始まります。さらにバイパスダイオードの故障まで波及すると、発火リスクは一段と高まります。

ケーブル(施工不良・接続不良)

残りの約1割強 は、ケーブルや接続箱からの発火です。要因は大きく、接続不良と施工不良の2種類に分けられます。

  • 施工不良
    ケーブルが架台のレールに挟み込まれた状態で固定されると、時間とともに被覆が傷つき、漏電や発熱を招きます。

  • 接続不良
    コネクタの接続が不完全なまま稼働を続けると、その接続部分に熱が集中することがあります。

施工不良が原因の事故は、設置後数年以内に集中して発生する傾向があります。だからこそ、設置直後の初回点検が特に重視されているのです。

※出典:NITE「製品安全情報マガジン Vol.473」2025年3月25日号「太陽光発電設備の事故」

実際に起きた火災事例3件

ここまでは数字や原因の「全体像」を見てきました。ここからは、実際に何が起きたのか、具体的な事例を3つ見ていきます。NITEが『製品安全情報マガジン』で公表しているもので、発生場所も原因もはっきり記録されています(※)。

東京都2022年:脱衣所に設置したパワコンが発火

このケースは、パワーコンディショナを脱衣所に置いていたことが引き金でした。脱衣所特有の湿気が基板に影響し、トラッキング現象を起こして発煙・発火に至っています。

考えてみると、脱衣所は入浴の前後で湿度が一気に上がる空間です。「ここに置いて本当に問題ないのか」を設置前にひとこと業者に確認できていれば、避けられた可能性があった事故といえます。

兵庫県2020年:飛来物がパネルを直撃して発火

強風によって飛んできた物体がパネルに激突し、破損させてしまったケースです。その衝撃でバイパスダイオードが壊れ、最終的に端子ボックスから火が出ました。

台風が通り過ぎた後は、パネル表面をチェックするのにちょうどいいタイミングです。ひび割れ・欠け・変色といった異変を見つけたら、自分で手を加えず専門業者に相談するのが安全です。

岡山県2022年:点検を怠ったケーブルが異常発熱

施工時、ケーブルが架台のレールに挟まったまま固定されていたケースです。その状態に誰も気づかないまま保守点検も行われず、被覆がじわじわと傷つき、最終的に異常発熱を引き起こしました。

「ちゃんと発電できているから、点検は後回しでいい」——この油断が、見えないところでリスクを膨らませていった典型例といえるでしょう。

※出典:NITE「製品安全情報マガジン Vol.473」2025年3月25日号「太陽光発電設備の事故」

「水で消火できない」は本当か?消防庁の見解

消火器を持った様子
SNSや一部のメディアでは、「太陽光パネルの火災は水で消せない」という情報が広まっています。実際のところはどうなのか、消防庁の見解を確認していきます。

なぜこの情報が広まったのか

太陽光パネルは、日光が当たっている限り発電を続けます。この特性から、「火災中でも電気が流れているため、放水すると感電するのではないか」という情報が広まりました。

2017年に発生したアスクル物流倉庫の火災でも、太陽光パネルが鎮火の遅れの一因として報道されたことがあります。ただし、その後の検証では、出火の直接原因はフォークリフト作業中の高温部への可燃物の接触であったとされており、太陽光パネルが火災を引き起こしたわけではありません。感電防止のため放水方法に一定の制約があったことが、消火活動が長引いた要因のひとつとして指摘されています(※1)。

実際の消火方法と感電リスクの実態

消防庁は、霧状放水による消火が可能だとしています。直射放水は電気を伝導するリスクを高めますが、霧状に分散させた放水であればそのリスクを抑えながら消火できるためです(※2)。

消防隊員が現場で注意しているポイントは、次の3つです。

  • パネルが光にさらされている間は、発電が継続していること
  • 破損したパネルからガラスが飛散する危険があること
  • 直射放水を避け、霧状放水または安全な距離を確保すること

火災が発生した際は、自分で消火を試みるのではなく、速やかに消防へ通報することを最優先に考えてください。

※1 出典:消防庁 国土交通省「埼玉県三芳町倉庫火災を踏まえた防火対策及び消防活動のあり方に関する検討会」報告書
※2 出典:消防庁 消防研究センター「太陽光発電システム火災と消防活動における安全対策」(2014年3月)

設置形態で変わるリスク:一般住宅は該当するか

消費者庁の調査では、太陽光発電の火災が特定の設置形態に集中していることが明らかになっています。

問題になった「鋼板等なし型」とは何か

消費者庁が問題視したのは、「鋼板等なし型(こうはんとう・なしがた)」と呼ばれる設置形態です。屋根材とパネルの間に防火性の鋼板などを設けず、パネルを屋根に直接近い形で取り付けるタイプを指します。

このタイプは、パネル下部に木材などの可燃素材が露出した状態になっているため、パネル付近で発火した場合に屋根へ延焼しやすい構造になっている点が指摘されています。

一般住宅の設置形態と安全性

「鋼板等なし型」が全国の太陽光設置全体に占める割合は、約4.5%です(※)。

一般的な住宅用設置では、架台とパネルの間に適切な防火処理を施した形態が主流となっています。ただし、古い設置や格安施工の中には、鋼板等なし型が採用されているケースも見られます。設置から10年以上経過している場合や施工記録が手元にない場合は、業者に設置形態を確認してもらうことも一つの方法です。

※出典:消費者庁「住宅用太陽光発電システムから発生した火災事故等」事故等原因調査報告書(2019年1月28日公表)

火災を防ぐ5つのアクション

倒れるドミノを指で食い止める手
火災リスクは、施工時の対応と設置後のメンテナンスによって大きく変わってきます。今日から取り組める5つのアクションを整理しました。

信頼できる施工業者の選び方

施工不良による火災を防ぐ最初の一手は、業者選定にあります。確認しておきたいポイントは3つです。

  • 電気工事士資格の確認
    第一種または第二種電気工事士の資格を持つ作業員が施工するかどうかを確認してください。資格の有無は、直接質問して問題ありません。

  • 施工書類の発行有無
    施工後に系統連系の確認書や工事完了報告書などを正式に発行する業者かどうかも、確認すべきポイントです。書類を渡さない業者の場合、後から点検や不具合の追跡が難しくなります。

  • 価格だけで選ばない
    極端に安い見積もりには注意が必要です。施工コストを抑えるために、部材や工程の一部が省かれているケースがあります。

設置後の定期点検・メンテナンスサイクル

JPEA(太陽光発電協会)は、設置後1年目、その後は4年ごとの定期点検・メンテナンスを推奨しています。改正FIT法のガイドラインでも、保守点検と維持管理の実施が求められています(※)。

4年ごとの定期点検では、電気系統の絶縁状態やパネルの固定状況、ケーブルの被覆状態などをプロが確認します。住宅用の費用目安は、3〜5万円程度です。

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日常の目視点検のポイント

専門業者の点検を待たずとも、日常の目視確認で異常を早期に見つけられることがあります。月1回程度を目安に、次の3点を確認してください。

  • パネル表面に鳥のふん・落ち葉・ひびや欠けがないか
  • パワーコンディショナの周囲に異臭・異音・エラー表示が出ていないか
  • パワーモニターの発電量が前年同月比で大きく落ちていないか

発電量の急落は、見えない異常のサインであることがあります。

異常を早期発見する遠隔監視

遠隔監視システムを導入すると、発電量の異常をリアルタイムで検知できるようになります。急激な発電量の低下は、パネル破損やケーブル異常のサインである場合があります。

多くのパワーコンディショナには、標準でモニタリング機能が搭載されています。スマートフォンアプリと連携できる機種であれば、外出中でも異常に気づきやすくなる点がメリットです。

万が一に備える保険

火災予防と並行して、保険への加入も検討してください。住宅用太陽光発電で活用できる保険は、主に4種類あります。

保険の種類 主な補償内容
動産総合保険 機器の損傷・故障による修理費
火災保険(建物特約) 太陽光設備を含む建物への損害
施設賠償責任保険 パネル落下などで第三者へ損害を与えた場合
売電収入補償 故障・事故による売電収入の損失

既存の火災保険に太陽光設備が含まれているかどうか、まずは保険証券を確認してみてください。

※出典:JPEA(太陽光発電協会)「長く使っていただくために」


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よくある質問(FAQ)

Q1.太陽光パネルは突然燃え出すことがありますか?

A1.極めてまれです。NITEの調査では、火災の約70%がパワーコンディショナ、約20%がモジュール(飛来物・ホットスポット)に起因しています。いずれも経年劣化や外的要因が積み重なって発生するもので、「突然の自然発火」というよりは、何らかの兆候を伴うケースが多い傾向にあります。定期点検によって、多くは事前に検知できます。

Q2.中古住宅に太陽光パネルが設置されている場合、リスクはありますか?

A2.設置年数が長いほど、パワーコンディショナの経年劣化リスクは高まります。設置から10年を超えている場合は、購入後早めに専門業者の点検を受けることを検討してください。パワーコンディショナの耐用年数(10〜15年)と照らし合わせることが、一つの判断材料になります。

Q3.台風でパネルが破損した場合、すぐに危険ですか?

A3.破損した状態を放置すると、通電異常からホットスポット現象や発火リスクが高まります。台風の後はパネルに触れず、まず安全な場所から目視で破損の有無を確認してください。割れ・欠け・変色が見つかった場合は、速やかに施工業者へ連絡することが先決です。

Q4.火災が起きたとき、自分で消火できますか?

A4.自分での消火は推奨されません。パネルは日光がある限り発電を続けるため、感電のリスクが残ります。火災を発見したらすぐに119番へ通報し、建物から距離を取ってください。消防隊員は、霧状放水で対応する訓練を受けています。

Q5.太陽光パネルが燃えると有毒ガスは出ますか?

A5.シリコン系パネルが燃焼した場合、一般的な建材火災と同様に有害な煙が発生します。太陽光パネルに固有の特殊な有毒ガスが大量に発生するわけではありませんが、一般の火災と同じく煙を吸い込まないよう、建物から速やかに離れることが基本です。

Q6.既存の火災保険で太陽光設備の損害はカバーされますか?

A6.補償範囲は契約内容によって異なります。太陽光設備を建物の一部として含む契約であれば補償対象になりますが、対象外の場合は動産総合保険などの追加が必要です。現在の保険証券を確認し、不明点があれば保険会社へ直接問い合わせることをおすすめします。

まとめ

太陽光発電の火災は決して頻発するものではありません。全国約237万棟の設置に対し、直近9年間の火災件数は127件、確率にすると0.005%です。パネル自体が突然燃え出すようなケースはごく一部で、発火原因の約70%はパワーコンディショナの劣化や設置環境の問題が積み重なって起きています。

また、「水で消せない」という情報も実際には誤りです。消防庁は霧状放水による消火を基本としており、正しい知識があれば過度に不安を感じる必要はありません。

とはいえ、確率が低いからといって油断していいわけではないのも事実です。設置後1年目に初回点検を受け、その後は4年ごとに定期点検・メンテナンスを続けること。そして施工業者を選ぶ際は、資格保有と書類発行の有無をきちんと確認すること。この2点を押さえておくだけで、火災予防の効果は大きく変わってくるでしょう。
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ソーラーメイト編集部

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