2023年10月18日
【完全版】一戸建ての太陽光発電 設置費用の相場と節約ポイント
太陽光発電の設置費用がおおまかに把握できるよう、相場の目安や内訳、補助金による負担軽減のポイントをわかりやすく解説します。さらに、家の条件や発電量の違いで費用がどう変わるのかも丁寧に補足します。
目次
「太陽光発電に興味があるけれど、実際にいくらかかるの?」 そんな疑問をお持ちのあなたへ。2025年の最新情報をもとに、一戸建てへの太陽光発電導入にかかる費用相場を、わかりやすくお伝えします。
要点/設置費用の相場
太陽光発電の導入を検討するとき、まず知りたいのは「うちの場合、いくらくらいかかるの?」という点ですよね。
結論からお伝えすると、2025年現在、一戸建てへの太陽光発電設置費用は、システムの容量や建物の条件によって大きく変動します。
一戸建てのざっくり総額
一般的な戸建て住宅に太陽光発電システムを導入する場合、4〜5kW程度の容量で、初期費用は100万円〜150万円程度が相場です。
経済産業省 資源エネルギー庁のデータによると、2024年度の住宅用太陽光発電の平均的な1kWあたりの単価は28万円〜33万円程度となっています。
ただし、この金額はあくまで目安です。屋根の形状、建物の構造、使用するパネルやパワーコンディショナのメーカー、そして施工会社によって違いが出てきます。
太陽光のみと蓄電池セットとの違い
太陽光発電システムだけを導入するのか、蓄電池もセットで導入するのかによっても、費用は大きく変わります。
| 導入パターン | 費用相場(目安) | 特徴 |
|---|---|---|
| 太陽光のみ(4〜5kW) | 100万円〜150万円 | 初期費用を抑えられる。余剰電力は売電 |
| 太陽光+蓄電池セット | 200万円〜350万円 | 電気を貯めて夜間も自家消費可能。災害時の備えにも |
蓄電池を同時導入すると、太陽光で発電した電気を貯めておけるため、電気料金の削減効果がさらに高まります。ただし、初期投資は増えるため、ご家庭の暮らし方や電気の使い方に合わせて検討することが大切です。
費用が変わる3つの軸
「見積もりを取ったら、予想より高かった」「友人の家より高いのはなぜ?」といった疑問を持つ方は少なくありません。太陽光発電の設置費用は、主に3つの要素によって変動します。
容量と電気代の関係
太陽光発電システムの費用を左右する最大の要因が「システム容量(kW)」です。容量が大きいほど、多くの電気を発電できますが、初期費用も高くなります。
一般的な戸建て住宅では、4〜5kW程度が標準的です。ご家庭の電気使用量によって、最適な容量は異なります。
- 電気代が月1万円程度の家庭:4kW前後で十分な効果
- 電気代が月1.5万円以上の家庭:5kW以上を検討
- オール電化住宅:6kW以上を導入するケースも
資源エネルギー庁の調査によると、住宅用太陽光発電の導入容量は平均5.0kW程度です。
電気料金の変動や、将来的な電気自動車(EV)の購入なども視野に入れて、容量を検討するとよいでしょう。
建物・屋根の条件
同じ容量のシステムでも、建物や屋根の条件によって工事費が大きく変わります。
- 費用が高くなりやすい建物:屋根の形状が複雑、3階建て以上、特殊な建材を使用、足場の確保が難しい立地などです。
- 費用を抑えやすい建物:シンプルな切妻屋根(南向きの一面)、新築または築浅、足場が組みやすい環境などです。
既存住宅の場合、屋根の状態によっては補強工事や屋根材の交換が必要になることもあり、別途追加費用が発生する可能性があります。
暮らし方・使用電力のちがい
日中在宅が多い家庭は自家消費が増え、電気代削減の効果が出やすくなります。
また日中留守が多い家庭は、売電や蓄電池の活用で自家消費率を高める工夫が重要です。
1kW単価と4〜5kWの目安
ここからは、より具体的な数字を見ていきます。太陽光発電の費用を考えるとき、1kWあたりの単価を知っておくと、見積もりが適正かどうかを判断しやすくなります。
新築戸建ての1kW相場
新築住宅に太陽光発電を導入する場合、1kWあたりの単価は28万円〜31万円程度が相場です。新築の場合、以下のメリットがあります。
- 屋根工事と同時施工できるため足場費用を抑えられる。
- 建物の構造計画時から太陽光を考慮できる。
- 住宅ローンに組み込める場合がある。
経済産業省の「調達価格等算定委員会」の資料によると、2024年度の新築住宅向けシステム費用は、工事費込みで1kWあたり28.6万円程度が平均的な水準とされています。
- 4kWを導入する場合: 約110万円〜125万円程度
- 5kWを導入する場合: 約140万円〜155万円程度
既築リフォーム時の相場
既存住宅への後付け導入(リフォーム)の場合、1kWあたりの単価は30万円〜33万円程度とやや高めになります。
これは、足場設置が別途必要、既存屋根の状態確認・補強が必要な場合がある、配線工事が新築より複雑になる場合があるためです。
ただし、近年は施工技術の向上により、既築住宅でも効率的に施工できるようになっており、相場の差は縮まりつつあります。
- 4kWを導入する場合: 約120万円〜135万円程度
- 5kWを導入する場合: 約150万円〜165万円程度
4〜5kWで想定される電気代削減
実際に4〜5kWのシステムを導入すると、どのくらい電気代が削減できるのでしょうか。
NEDOの太陽光発電コスト等に関する情報をもとに試算すると、以下のような効果が期待できます。
- 4kWシステムの場合(年間発電量 約4,000〜4,500kWh): 自家消費分の電気代削減と売電収入を合わせて、年間6万円〜10万円程度の効果が見込めます。
- 5kWシステムの場合(年間発電量 約5,000〜5,500kWh): 同様に、年間8万円〜12万円程度の効果が期待できます。
ただし、実際の効果は、地域の日照条件、屋根の向き、電気料金プラン、自家消費率などによって変動します。
電気料金の変更や今後の値上がりを考慮すると、長期的な削減効果はさらに大きくなる可能性があります。
設置費用の全体像
太陽光発電の見積書を見ると、たくさんの項目が並んでいて戸惑う方も多いでしょう。しかし、全体像を理解するのは実はシンプルです。大きく分けて「設備費」と「工事費」の2層構造だと考えればOKです。
パネル・パワコンなど設備部分
設備費は、太陽光発電システムそのものの費用です。
| 設備項目 | 費用の割合 | 特徴 |
|---|---|---|
| 太陽光パネル | 全体の4〜5割 | メーカーによって価格・効率が異なる |
| パワーコンディショナ | 全体の2〜3割 | 直流を交流に変換する心臓部 |
| 架台・取付金具 | 全体の1割前後 | 屋根の種類で部材が変わる |
これらの設備費は、選ぶメーカーや種類によって大きく変動します。高効率パネルを選べば設備費は上がりますが、限られた屋根スペースでも多くの電力を得られるというメリットがあります。
足場・配線など工事部分
工事費は、システムを実際に取り付けるための費用です。足場設置費は建物の高さや形状によって変わり、特に3階建て以上では高くなります。
電気工事費にはパワーコンディショナの設置、配線工事、分電盤への接続などが含まれます。
屋根工事費は、パネルを設置するための屋根への取り付け工事で、瓦屋根の場合は特殊な工法が必要になることもあります。
工事費は建物の条件によって大きく変動するため、同じ容量のシステムでも家によって総額が異なる主な理由となっています。
太陽光+蓄電池セットの相場
太陽光発電を検討する際、「蓄電池も一緒に導入すべきか」は多くの方が悩むポイントです。初期費用は上がりますが、電気の使い方や暮らし方によっては、セット導入が賢い選択になることもあります。
太陽光のみとの総額比較
蓄電池をセットで導入する場合の費用相場は、蓄電池の容量によって大きく変わります。
| 導入パターン | システム容量 | 費用相場(目安) |
|---|---|---|
| 太陽光のみ | 4〜5kW | 100万円〜150万円 |
| 太陽光+小型蓄電池 | 4〜5kW + 5〜8kWh | 170万円〜250万円 |
| 太陽光+中〜大型蓄電池 | 4〜5kW + 10〜12kWh | 240万円〜350万円 |
蓄電池の容量は、ご家庭の電気使用量や、停電時にどの程度の電力を確保したいかによって選びます。
一般的な家庭では、7〜10kWh程度の容量があれば、夜間の電力をカバーしつつ、災害時にも最低限の電力を確保できます。
太陽光と蓄電池の同時導入のメリットは、工事を一度で済ませられることです。
太陽光だけを先に導入して、後から蓄電池を追加すると、再度足場を組んだり、配線工事を行ったりする必要があり、トータルでは費用が高くなることがあります。
なお、蓄電池単体で導入する場合の費用は、5〜8kWhクラスで70万円〜150万円程度、10〜12kWhクラスで150万円〜250万円程度です。
電気料金削減と売電収入のイメージ
蓄電池を導入すると、電気代削減の効果がどのように変わるのでしょうか。
- 太陽光のみの場合: 日中に発電した電気をその場で使い、余った電気は電力会社に売ります。夜間や悪天候時は電力会社から電気を買います。一般的な自家消費率は20〜30%程度です。
- 太陽光+蓄電池の場合: 日中に発電した電気をその場で使い、余った分を蓄電池に貯めます。
夜間は蓄電池に貯めた電気を使うため、電力会社から買う電気を最小限に抑えられます。自家消費率は50〜70%程度まで向上します。
4〜5kWの太陽光+7〜10kWh蓄電池の場合、年間の電気代削減は8万円〜15万円程度が期待できます。ただし、初期投資が高いため、投資回収には10〜15年程度かかることが多いでしょう。
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太陽光、蓄電池のセットについて詳しくはこちらをご覧ください
補助金で実質負担を抑える
太陽光発電の導入を考えるとき、「初期費用の相場」だけでなく、「実質的にいくら負担するのか」を見ることが重要です。
国や自治体の補助金等を活用すれば、実質負担を大きく抑えることができます。
国・自治体の補助金の探し方
2025年現在、太陽光発電や蓄電池の導入に対する支援制度は、国と自治体の両方で用意されています。
国の補助金
経済産業省や環境省が実施する補助事業があります。特に蓄電池を同時導入する場合、「災害対応型」の補助金が利用できることがあります。
ただし、補助金は年度ごとに予算が決まっており、申請期間も限定されているため、情報を早めにキャッチすることが大切です。
自治体の補助金
都道府県や市区町村が独自に補助金を用意しているケースが多くあります。
| 自治体タイプ | 太陽光補助金の目安 | 蓄電池補助金の目安 |
|---|---|---|
| 全国平均的な自治体 | 1kWあたり1万〜5万円程度 | 定額10万〜50万円程度 |
| 東京都など高額制度 | 1kWあたり12万〜15万円 | 上限120万円 |
東京都では「災害にも強く健康にも資する断熱・太陽光住宅普及拡大事業」として、太陽光発電や蓄電池の導入に対して手厚い補助を支援しています。
国の補助金と自治体の補助金を組み合わせることで、初期費用の3〜4割程度をカバーできるケースもあります。
- 注意点
- 補助金は先着順や抽選方式のことが多く、年度途中で予算終了することもあります。導入を決めたら、早めに申請準備を進めてください。
実質負担の考え方(投資・回収のイメージ)
補助金を使うと、実質負担はどれくらいになるのでしょうか。具体例で見ていきます。
ケース例:5kWの太陽光+7kWh蓄電池を導入(金額は目安)
- 初期費用:250万円
- 国の補助金:30万円
- 自治体の補助金:40万円
- 実質負担:180万円
さらに、この180万円の実質負担に対して、年間の電気代削減効果が10万円あるとすると、約18年で投資回収できる計算になります。ただし、実際には以下の要素も考慮する必要があります。
電気料金が今後上がれば、削減効果も大きくなります。売電価格は年々下がっている傾向があります。太陽光パネルは25〜30年、パワーコンディショナは10〜15年が一般的な寿命です。
高くなる見積もり/安く抑えるコツ
「見積もりを取ったら、思ったより高かった」という経験をした方も多いのではないでしょうか。太陽光発電の設置費用が高くなるパターンと、賢く安く抑えるコツをお伝えします。
高くなりやすいパターン(建物・時期・会社)
見積もりが相場より高くなる主な理由をまとめます。
| 高くなる要因 | 詳細 |
|---|---|
| 建物の条件 | 屋根の形状が複雑、3階建て以上、特殊な屋根材、足場の確保が難しい |
| 導入時期 | 春・秋の繁忙期は値引き余地が少ない |
| 会社の選び方 | 大手ハウスメーカー経由(中間マージン)、訪問販売(高額設定) |
| 築年数 | 古い建物では屋根補強が別途必要になることも |
- 相見積もり・資料比較のコツ
-
太陽光発電の費用を安く抑える最も効果的な方法は、複数の会社から相見積もりを取ることです。
Solar-Mateでは、施工業者の選び方について詳しく解説しています。
2025年に導入する「価値」と効果
太陽光発電を「費用」だけで判断するのは、もったいないことです。導入することで得られる価値は、お金だけでなく、暮らしの質や環境への貢献、そして不動産としての資産価値にまで及びます。
電気代削減・収入・環境のトータル効果
太陽光発電のメリットを、数字で見える部分と見えない部分に分けて整理します。
| 効果の種類 | 具体的な内容 |
|---|---|
| 数字で見える効果 |
|
| 数字では測りにくい効果 |
|
資源エネルギー庁の「再エネの環境価値」に関する資料によると、4kWの太陽光発電システムは、年間約4,400kWh発電した場合、以下のようになります。
日本の平均的な排出係数:年間約1.7〜2.1トンのCO2排出削減
これは杉の木約120〜150本分の吸収量に相当します。
暮らし・不動産にとっての価値
太陽光発電を導入した住宅は、将来的に売却や賃貸に出す際、付加価値として評価される可能性があります。
特に省エネ性能を重視する購入者にとって、魅力的な物件となるでしょう。
導入を見送ったほうがいいケースもある
ただし、すべての家庭に太陽光発電が向いているわけではありません。
- 屋根の日当たりが悪い(北向きのみ、周囲に高い建物)
- 築年数が古く近い将来に建て替えや大規模リフォームを予定している
- 電気使用量が非常に少ない(月5,000円以下)
- 初期投資の回収期間が長すぎる(20年以上)
これらのケースでは、導入を慎重に検討する必要があります。
一般社団法人 太陽光発電協会(JPEA)のFAQでも、塩害地域や落雷の多い地域など、設置に注意が必要なケースが紹介されています。
情報収集と業者選びのステップ
「太陽光発電に興味はあるけど、何から始めればいいか分からない」という方へ。情報収集から業者選びまで、3つのステップで整理しました。
公的情報で前提ルールを押さえる
まずは、信頼できる公的機関の情報で基礎知識を身につけましょう。
- チェックすべき公的サイト
-
- 経済産業省 資源エネルギー庁
- 一般社団法人 太陽光発電協会(JPEA)
- お住まいの自治体のホームページ(補助金情報)
まとめ
ここまで、太陽光発電の設置費用相場について見てきました。最後に、今日この記事を読んで決めていただきたい3つのポイントをまとめます。
自分の「容量」と「相場レンジ」
まず、ご自宅に必要なシステム容量と、その費用レンジを把握しましょう。一般的な戸建てなら4〜5kWが目安で、費用は90万円〜150万円程度です。
電気使用量が多い家庭や、将来的にEVの導入を考えている場合は、より大きな容量を検討する価値があります。
補助金等の実質負担
初期費用の相場だけでなく、補助金を活用した「実質負担」で考えることが重要です。国や自治体の補助金情報を早めにチェックし、申請のタイミングを逃さないようにしましょう。
いつ・どこに相談するか
太陽光発電の導入は、情報収集から見積もり、施工まで数ヶ月かかることが一般的です。「いつか導入したい」と考えているなら、まずは情報収集を始めることをおすすめします。
EXPOや展示会への来場、複数社への見積もり依頼など、具体的なアクションを起こしてみましょう。
FAQ
最後に、太陽光発電の設置費用に関してよく寄せられる質問にお答えします。
一戸建ての設置費用、平均的な相場は?
一戸建てに太陽光発電を導入する場合、4〜5kWのシステムで90万円〜150万円程度が相場です。新築時は若干安く、既築住宅へのリフォームはやや高めになる傾向があります。2025年時点の1kWあたりの単価は、28万円〜33万円程度が目安です。
太陽光パネル1枚の価格と、何枚で何kWになる?
太陽光パネル1枚の価格は、出力やメーカーによって大きく異なり、2万円〜20万円程度の幅があります。主流の住宅用パネルでは3万円〜10万円程度が多いですが、海外メーカーの低価格帯では2万円台、国内メーカーの高効率パネルでは10万円を超えるものもあります。
一般的な住宅用パネル(300〜400W)の場合、12〜15枚で4〜5kW程度のシステムになります。出力が大きいパネルを選べば、少ない枚数で必要な容量を確保できます。
太陽光と蓄電池を同時導入したほうが安くなる?
同時導入することで、工事を一度で済ませられるため、後から蓄電池を追加するより総額は安く抑えられます。ただし、初期費用は高くなるため、電気の使い方やライフスタイルに合わせて検討することが大切です。日中留守が多い家庭や、災害時の備えを重視する場合は、蓄電池の同時導入が効果的です。
太陽光発電は「やめたほうがいい」ケースもある?
屋根の日当たりが悪い(北向きのみ、周囲に高い建物がある)、築年数が古く近い将来に建て替え予定がある、電気使用量が極端に少ない(月5,000円以下)といったケースでは、投資効果が薄く、導入を見送ったほうがよい場合もあります。現地調査と詳細なシミュレーションで判断しましょう。
- 出典
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- 経済産業省・環境省・自治体のFAQ
- JPEA FAQ
- 太陽光と蓄電池の費用感をさらに深掘りしたい方へ
-
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