2025年07月03日

自家消費型の太陽光発電を3分で解説|基礎知識から導入の流れ、費用
【この記事はどんな人の役に立つか】
この記事は、一戸建で太陽光発電の導入を検討されているご家族に向けた実践的なガイドです。「自家消費型って聞いたことはあるけれど、具体的に何から始めればいいの?」「何か手続きは必要?」といった疑問はもちろん、基礎知識から導入完了まで、一連の流れを理解できるよう構成しています。
この記事を読むことで、以下のような重要な情報が分かります。
- 自家消費型太陽光発電とは何か(3つの基本パターンと選び方)
- 導入から運用開始までの具体的な5ステップ
- 実際にかかる費用の詳細と相場感(新築時の特別メリット含む
- 年間どれくらい電気代が安くなるのか(モデルケース付き)
- 失敗しない業者選びの5つのポイント
- 新築時だからこそ得られる3つの特典
子育て世代のご家族にとって、太陽光発電導入の判断から実際の手続きまで、迷わず進められる道筋を紹介します。
目次
自家消費型太陽光発電のキホン
まずは基本を理解しよう
自家消費型太陽光発電とは、ソーラーパネルで発電した電力を、まず自分の家で使うことを主たる目的としています。
従来の太陽光発電は「売電」(電力会社に電気を売ること)とセットで語られることが多かったですが、自家消費型では文字通り、自分の家のために太陽光で発電した電気を使うことが一番の目的といえます。
分かりやすい例で説明すると:朝8時から夕方5時まで太陽光で5kWhの電気を発電したと仮定します。太陽光発電を導入後、売電をメインにしていた場合、自家消費をメインとした場合を比較してみました。
【売電がメインの場合】
- まず家庭の電力を太陽光でまかなう(自家消費型)
- 余った電気を電力会社に売る(余剰売電)
- 夜間など太陽光が発電ができない時間帯は電力会社から電気を購入(買電)
このように「まず自分の家で使って、余った分は売る、夜間の足りない分は買う」のがこれまでの傾向でした。
【自家消費型の場合】
- 家庭の電力の大部分を太陽光発電でまかなう(自家消費型)
- 今まで購入していた電気量が低減できる(買電の低減)
- それでも余った分があれば売電に回しても(余剰売電)
このように2025年は売電から自家消費型へとシフトしつつあるといえます。
なぜ今、自家消費型が注目されているの?
売電から自家消費型へとシフトしている理由は、以下の3つが挙げられます。
理由1:電気代が上がり続けている
2021年から電気代が大幅に上昇し続けています。資源エネルギー庁のデータによると、日本の家庭用電気料金は、2021年の28円/kWhから、2022年には34円/kWh、2023年には35円/kWhと推移しており、着実に上昇していることが示されています。
これを一般的な家庭の電気代に換算すると、月額15,000円から20,000円程度まで上がっており、今後もこの傾向は続くと予想されています。
理由2:太陽光発電の買取価格が下がった
以前は太陽光で発電した余剰電力は、固定価格買取制度(FIT制度)によって 42円/kWhという高値で買取されていました(2017年当時)。
しかし現在では16円/kWh程度とかなり下がってきています。一方、電力会社から購入する電気は25-30円/kWhなので「売るより自分で使った方がお得」な状況になっているのです。
理由3:災害時の備えとして
太陽光発電システムは、停電時でもある程度の電力がまかなえるので災害時の備えとして注目されています。その際、蓄電池のない場合は日中に発電した電力を、発電した容量によって使うというイメージです。
蓄電池がある場合のメリットは後述します。
実際にどれくらい電気代は安くなる?

一般的な家庭の電気料金でシミュレーション
前項と同様に太陽光発電を利用している一般的な4人家族の、売電をしていたこれまでの電気代と、自家消費型をメインとした場合の電気代を試算してみました。年間の節約効果も含めてあくまでも目安として参考にしてください。
【売電がメインの場合】
- 月の電気代:14,000円(年間16.8万円)
- 太陽光システム:5kW
- 年間発電量:約5,500kWh
年間の節約効果
- 自家消費分:1,650kWh × 30円/kWh = 49,500円の節約
- 余剰売電分:3,850kWh × 16円/kWh = 61,600円の収入
- 合計年間効果:約11.1万円
【自家消費型の場合】
- 自家消費率:30%(蓄電池なし)
- 月の電気代:13,650円(年間16.4万円)
- 太陽光システム:5kW
- 年間発電量:約5,500kWh
年間の節約効果
- 自家消費分:3,300kWh × 30円/kWh = 99,000円の節約
- 余剰売電分:2,200kWh × 16円/kWh = 35,200円の収入
- 合計年間効果:約13.4万円
【参考:太陽光発電なしの場合】
- 月間電力使用量:600kWh × 30円/kWh = 18,000円
- 年間の電気料金=21.6万円
蓄電池を併用するとさらにオトク!
蓄電池(日中の余った電気を貯めて夜に使う装置)を併用すると、自家消費率がさらに向上します。
【蓄電池併用時】
- 自家消費率:70%(蓄電地あり)
- 月の電気代:7,250円(年間8.7万円)
- 太陽光システム:5kW
- 年間発電量:約5,500kWh
年間の節約効果
- 自家消費分:3,850kWh × 30円/kWh = 115,500円の節約
- 余剰売電分:1,650kWh × 16円/kWh = 26,400円の収入
- 合計年間効果:約14.2万円
年間の電気代の削減効果を並べると以下のようになります。

導入費用はどれくらい?新築時の相場とは
太陽光発電システム費用の相場って?
太陽光発電システムの費用はここ数年で大幅に下がっています。2012年頃は1kWあたり50万円程度でしたが、現在では25-30万円程度まで下がり、導入しやすくなりました。ただしメーカーや機器の品質、工事内容によって価格は変動するため、複数社からの見積もりを取得することが重要です。
【導入時の費用:例】 太陽光発電システムのみ(5kW)
- 機器代:約100万円
- 工事費:約30万円
- 合計:約130万円
太陽光発電+蓄電池(5kWh)
- 太陽光システム:約130万円
- 蓄電池:約100万円
- 合計:約230万円
新築時に導入するメリット
新築時に太陽光発電システムを導入すると、以下のようなメリットが考えられます。
コスト面でのメリット
- 屋根工事と同時施工で工事費を削減
- 足場代など、後付けする場合に比べ費用が削減できる(約10-20万円の節約に
- 住宅ローンに設置工事費を組み込みめる(低金利での資金調達が可能に)
設計面のメリット
- 配線計画を最初から計画できる
- 屋根の形状や向きによって太陽光パネル数などを最適化できる
- 将来の蓄電池増設や電気自動車充電設備を考慮できる
補助金制度の活用
国や都府県、市区町村の補助金制度
太陽光発電の導入には、国や地方自治体から様々な補助金制度が用意されています。これらの制度は毎年見直されるため、導入を検討する際は最新の情報を確認することが大切です。また補助金には予算枠があり、申請順で締め切られる場合が多いため、早めの準備が必要になります。
【国の補助金制度】
1. ZEH支援事業(環境省・経済産業省)
- 対象:新築でZEH基準を満たす住宅
- 補助額:55万円/戸(太陽光発電設置が条件)
- 条件:年間の一次エネルギー消費量がおおむねゼロ以下
2. 蓄電池等分散型エネルギーリソース活用事業(経済産業省)
- 対象:家庭用蓄電池(住宅用太陽光発電10kW未満との併設が条件
- 補助額:最大60万円
- 条件:DR(デマンドレスポンス)事業への参加、認定業者による施工
【地方自治体の補助金制度例】
1. 東京都「災害にも強く健康にも資する断熱・太陽光住宅普及拡大事業」
- 住宅用太陽光発電:15万円/kW(上限60万円)
- 家庭用蓄電池:最大120万円
- 条件:都内の住宅、新品未使用品
2. 神奈川県「かながわスマートエネルギー計画推進事業」
- 住宅用太陽光発電:2万円/kW(上限9万円)
- 家庭用蓄電池:3万円/kWh(上限12万円)
- 条件:県内在住、税金滞納なし
3. 愛知県「住宅用地球温暖化対策設備導入促進費補助金」
- 住宅用太陽光発電:1万円/kW(上限4万円)
- 家庭用蓄電池:3万円/kWh(上限12万円)
- 条件:県内在住、新品設備
4. 群馬県(県レベルでの補助)
- 住宅用太陽光発電+蓄電池セット:最大50万円超
- 条件:セット導入が必要
【市区町村レベルの補助金例】
1. 東京都港区「太陽光発電システム設置費助成」
- 住宅用太陽光発電:12万円/kW(上限50万円)
- 条件:区内在住、10kW未満
2. 東京都江東区「地球温暖化防止設備導入助成」
- 住宅用太陽光発電:6万円/kW(上限24万円)
- 家庭用蓄電池:10万円/kWh(上限40万円)
投資回収期間について
太陽光発電における投資回収とは?
太陽光発電システムの投資回収とは、初期費用を電気代削減効果と売電収入などで「何年で回収できるかを示す指標」です。これは太陽光発電導入の重要な判断材料となります。回収期間は電気料金の上昇や売電価格の変化によって短縮される可能性もあります。
太陽光発電のみの場合
- 初期費用:130万円
- 年間効果:10.8万円
- 回収期間:約12年
太陽光発電+蓄電池の場合
- 初期費用:230万円(補助金50万円適用後:180万円)
- 年間効果:13万円
- 回収期間:約14年
太陽光発電システムの耐用年数は25-30年なので、回収後は15年程度の利益期間があります。つまり12年で初期投資を回収した後、残りの15年間は純粋な家計のメリットとして毎年10万円以上の節約効果が続くことになります。またメンテナンスを適切に行えば30年以上の長期使用も可能で、長期的には非常に有利なシステムといえるでしょう。 なお太陽光発電事業者によっては、もっと短期間に初期費用が回収できるお得なプランもあります。
メリット・デメリットを解説

太陽光発電導入のメリット
1. 電気代の大幅削減
自家消費型であれば、月の電気代を30-50%削減できる家庭が多く、特に在宅時間の長いご家庭では効果が高くなります
2. 災害時の安心感
停電時でも昼間は電気が使え、蓄電池があれば夜間も最低限の電力を確保できます。冷蔵庫、照明、スマートフォンの充電など、生活に必要な電力をまかなえます。
3. 環境への貢献
5kWの太陽光発電で年間約2.4トンのCO2削減効果があるという試算もあります。環境意識が高まることで、子どもの教育にもよい影響が期待できます。
太陽光発電導入のデメリット
1. 初期費用の負担
導入する際は、住宅建築費用に加えて100万円を超える初期投資が必要となりますが、太陽光発電事業者との契約プランによっては、初期費用が実質0円となるお得なプランもあります。
2. 発電量が天候に左右される
- 晴天:100%の発電力
- 曇天:20-40%の発電力
- 雨天:5-15%の発電力
- 雪が積もった日:ほぼ発電なし
太陽光は自然エネルギーのため、天候に左右されるのは事実です。ただし最新の太陽光発電パネルでは、曇りの日でも安定した発電量を維持できるなど、低照度での発電を強化した製品もあります。
3. メンテナンス費用がかかる
太陽光発電システムを維持するためには、多少のメンテナンス費用が発生します
- 定期点検:4年に1回(5-10万円)
- パネル清掃:年1回(1-2万円)
- パワーコンディショナ交換:15年に1回(20-30万円)
一見、出費に感じるかもしれませんが、車にもメンテナンスや買い替え時期があるように、家のエネルギー自立を司る太陽光発電システムもメンテナンスが重要と心得ましょう。
4. 屋根の条件による制約
- 南向きが理想(東西向きでも80%程度の効果)
- 勾配30度が最適
- 周辺建物による影の影響
- 屋根材質による設置可否
確かに、住居を建てる場所によっては太陽光発電に向かない土地もあるのは事実です。事前にこうした要素や条件を確認したうえで、太陽光発電事業者に相談してみましょう。
FAQ よくある質問と具体的な回答
Q1: 曇りや雨の日はどの程度発電しますか?
A:晴天を100%とすると、曇りの日は20-40%、雨の日は5-15%程度の発電量になります。ただし、年間を通して見ると、雨の日の発電量低下を晴天日がカバーするため、年間発電量への影響は限定的です。
Q2: 停電時にはどの程度の電力が使えますか?
A:太陽光発電のみの場合、昼間に専用コンセントから最大1.5kW程度の電力が取り出せます。これは冷蔵庫、照明、スマートフォン充電程度の電力です。蓄電池があれば、夜間も含めて冷蔵庫、照明、テレビ、Wi-Fiルーターなどの基本的な電力を6-12時間程度まかなえます。
Q3: メンテナンスは自分でできますか?
A :基本的なチェック(発電量の確認、目視での損傷チェック)は可能ですが、清掃や点検は専門業者に依頼することをお勧めします。屋根に上る作業は危険ですし、不適切な清掃でパネルを傷つけるリスクがあるためです。
Q4: 引越し時にシステムは移設できますか?
A:技術的には可能ですが、移設費用が新規設置とほぼ同額になるため、経済的なメリットは少ないです。自宅を売却する場合には太陽光発電システムは住宅の付加価値として評価されることが多いため、そのまま残すことをお勧めします。
電気料金の将来予測と自家消費の重要性
電気料金上昇の背景
燃料費の高騰:
日本の電力は火力発電が主力のため、石炭・天然ガス・石油の価格上昇が直接電気料金に影響します。ウクライナ情勢や中東情勢の不安定化により、今後も化石燃料価格の高止まりが予想されます。
再エネ賦課金の増加:
再生可能エネルギー普及のための費用(再エネ賦課金)が電気料金に上乗せされており、2025年度は3.98円/kWhになっています。この負担は今後も継続される見込みです。
電力インフラの更新費用:
老朽化した発電所や送電設備の更新費用も電気料金上昇の要因となっています。
自家消費による長期的メリット
電気料金上昇の影響を軽減:
電気料金が25円/kWhから35円/kWhに上昇した場合、1,800kWhの自家消費分の価値は、年間4.86万円から6.3万円に増加します。これは年間1.44万円の追加メリットとなります。
エネルギー自給率の向上:
住宅用太陽光発電システムは、身近な発電所です。再生可能エネルギーの利用で、将来的に電力会社から購入する電気をゼロにする「ゼロエミッション」という考え方のもと、エネルギー自立型の住宅を目指せます。
今すぐできる3つのアクション
自家消費型の太陽光発電は、子育て世代のご家庭にとって長期的な家計メリットと安心をもたらします。年間10-15万円の電気代削減効果により、12-15年で投資を回収し、その後は25年以上にわたって経済的メリットを享受できる可能性もあります。
今すぐできる3つのアクション
- 電気料金明細の確認:過去1年分の電力使用パターンを確認
- 信頼できる業者へ相談:最低3社から見積もりを取得し、比較検討を
- 家族での話し合い:長期的なエネルギー自立計画を立ててみる
まとめ
新築時は、太陽光発電システムの初期費用を軽減できる絶好の機会です。このタイミングで将来的なエネルギー自立を計画しておけば、10年後のコストメリットは最大化されるでしょう。「初期費用の負担を抑えて始めたい」という方には、ソーラーメイトみらいのような4年契約で手軽に始められるサービスもあります。詳しい導入方法や最新情報については、太陽光発電に関する専門記事を参考に、ご家庭にとって最適な選択を検討してみてください。
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