2024年02月22日
太陽光発電で固定資産税はかかる?課税対象や気を付けるポイントについて解説!
電気料金の高騰や再エネに対する意識の高まりから、多くのご家庭で家庭用太陽光発電システムを導入しています。メリットが多岐にわたる太陽光発電システムですが、固定資産税が関わる可能性があることを忘れてはなりません。ソーラーパネルが屋根に設置されることで、その設置方法によって家屋の一部となり、固定資産税の対象となる場合があります。
この記事では、家庭用太陽光発電が固定資産税の対象になる条件や、非課税の条件について詳しく解説していきます。
目次
家庭用太陽光発電と固定資産税の関係性とは
家庭用太陽光発電とは
家庭用太陽光発電は、ご自宅や敷地内に設置する太陽光パネルで発電するシステムです。太陽光エネルギーを収集し、太陽光パネルで発電された電力はご家庭内で使用できるほか、余剰分は電力会社に売電することもできます。
また、災害発生時に停電した場合でも、ご自宅で電気をつくることができるため、近年では非常用電源として大きな注目を集めています。家庭用太陽光発電は、電気料金の節約やCO2排出量の削減といったメリットがあり、持続可能なエネルギー供給の一環として世界中で普及が進んでいます。
固定資産税とは
固定資産税は、土地や建物などの固定資産に対して、固定資産のあるエリアの地方自治体が課す税金のことです。所有者が所有する不動産などの価値に基づいて計算され、毎年1月1日を基準として課税されます。
不動産所有者が所有する不動産資産の価値に応じて支払うものであり、固定資産税の額は、不動産の所在地や面積、建物の構造や価値などによって異なります。
固定資産税は、地方自治体の財源として使われ、地域の公共サービスやインフラの維持・整備などに活用されます。地方自治体の財政を支える重要な収入源となっています。
太陽光発電は償却資産
太陽光発電の設備は、償却資産にあたります。償却資産とは、事業を行う上で使用される構築物や機械などの資産で、使用期間中にその価値が減少することが予想されるものを指します。具体的には、建物や機械設備、車両などが資産にあたり、これらの資産は、法定の償却期間内で徐々に価値が減少し、その減少額を経費として計上することができます。
国の定める太陽光発電システムの耐用年数は17年で、取得年度をピークに、評価額の減少とともに課税額は下がっていきます。太陽光発電は長期にわたって利用されるため、耐用年数に基づいて設備価格を年々償却していくことが一般的です。
太陽光発電の固定資産税は何パーセント?
太陽光発電の固定資産税は「設備の評価額」に「税率1.4%」を掛けた金額が毎年請求されます。システムを導入した初年度の評価額は「購入額の93.6%」で計算されますが、2年目以降は「前年の評価額の87.3%」となります。
つまり、もし300万円の太陽光発電システムを設置した場合、設備の評価額は「280万8,000円」となり、1年目の固定資産税は「30,935円」になります。
家庭用太陽光発電で固定資産税がかかるケース
大前提として、産業用の太陽光発電システムは課税対象になります。
10kW以上の太陽光発電システムの場合
10kW以上の太陽光発電システムは、家庭用として導入したとしても固定資産税の対象となります。その理由は、一般的に10kW以上の太陽光発電システムは産業用として使用されることが多く、収入を目的にしていると考えられているからです。
このような大規模なシステムは、その大きさや収益性から単なる住宅設備ではなく、ビジネスと関連づけられるため、固定資産税の課税対象となります。
屋根一体型の太陽光発電システムの場合
取り外しができない、屋根一体型(建材一体型)の太陽光発電システムが固定資産税の対象になります。その理由は、ソーラーパネルが建物と一体化しており、建物の一部として認識されるため、建物自体の価値があがったり、デザイン性や機能性に影響を与えると考えられているからです。
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家庭用太陽光発電で固定資産税、確定申告が不要なケース
10kW未満の太陽光発電システムの場合
10kW未満の太陽光発電システムの場合、課税対象外となります。理由は、住宅用の小規模な太陽光発電システムの場合、個人が自宅での使用や余剰電力の売却を目的として設置するため、収益目的ではないと認識されるためです。
年間の売電収入が20万円未満の場合
給与所得がある家庭の場合、売電による収入は雑所得として計上されます。年間の雑所得が20万円未満の場合、確定申告が不要となります。
確定申告が必要なケース
年間の売電収入が20万円超える場合
20万円未満の売電収入については、他の雑所得と合算する必要があります。他の雑所得と合算しても20万円未満であれば、確定申告の対象外となりますが、「20万円を超える場合は確定申告が必要」となりますので、注意が必要です。しかし所得税に関しては、住宅用の規模で課税対象となる20万円以上の売電による所得を得ることは不可能に近いです。
なぜなら、10kW未満の太陽光発電は、ご家庭で使用して余った分だけが売電できる「余剰買取制度」である上、雑所得からは太陽光発電の導入に必要になった費用が経費として計上できるからです。
固定資産税(償却資産)の申告から課税までの流れ
固定資産税の申告や手続きは、自治体の税務事務所に対して行います。以下、東京都の発表している資料を基に、一連の流れを解説します。
①申告書の提出
賦課期日(1月1日)現在所有している償却資産を、その年の 1月31日までに、資産が所在する区
にある都税事務所に申告します。
②価格等の決定および課税台帳への登録
償却資産の価格等は申告・調査に基づいて決定され、償却資産課税台帳に登録されます。
③課税台帳に登録した旨の公示
価格等を償却資産課税台帳に登録した旨を公示します。
④課税台帳の閲覧
償却資産課税台帳に登録された価格等は、都税事務所において所有者、納税管理人および代理人等、
固定資産税の課税に直接関係を有する方へ、公示した日から閲覧できるようになります。
⑤審査の申出
償却資産課税台帳に登録された価格に不服のある方は、課税台帳に価格等を登録した旨を公示し
た日から、納税通知書の交付を受けた日の翌日から起算して 3 月以内に、文書をもって東京都固定
資産評価審査委員会に対して審査の申出をすることができます。
また、この審査の申出に対する決定に、なお不服があるときは、当該決定に対してのみ取消しの
訴えを提起することができます。
⑥税額の算出および納税通知書の交付(課税)
税額を算出し、6 月上旬に納税通知書を交付します。価格等の算出の結果、課税標準額が150万円(免税点)未満の場合には課税されないため、納税通知書を交付されません。
⑦審査請求
課税の内容について不服がある方は、その処分があったことを知った日の翌日から起算して 3 月
以内に、東京都知事に対して審査請求をすることができます。
⑧納期
通常4回の納期に分けて納めることができます。(令和 6 年度 東京都23区の場合)
参照:東京都「令和6年度 固定資産税(償却資産)申告の手引き」
https://www.tax.metro.tokyo.lg.jp/shisan/files/R6_shinkokutebiki.pdf
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まとめ
家庭用太陽光発電が普及する中で、導入を検討している太陽光発電システムが固定資産税の対象なのか気にされる方が増えています。固定資産税は設置の方法やシステムの容量によって変わるため、正しい情報を得て検討することが重要です。
10kW未満の太陽光発電システムを設置することや、屋根一体型ではない、架台をつかった設置型のシステムを選択することで、固定資産税の対象から外れる場合があります。また、売電収入を20万円未満に抑える戦略も検討すべきです。
適切な情報収集と計画的な導入によって、税金の負担を最小限に抑えつつ、持続可能なエネルギーの普及を推進し、地域社会の発展に貢献することが可能です。
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