
- 太陽光パネル
- 2023.09.15
2025年08月22日
【この記事はどんな人の役に立つか】
太陽光発電設備の耐用年数について「ホントのところ、何年くらい使えるの?」「初期費用の元は取れるの?」と疑問をお持ちの方は多いことでしょう。
この記事では太陽光発電設備の耐用年数について、法定耐用年数17年と実際の寿命の違いや各機器の交換時期と費用、長期的な経済効果までを具体的な数字を示しながら解説します。新築をご検討中の方から太陽光発電を設置済みの方まで、太陽光発電設備の耐用年数を正しく理解して適切な判断ができるようサポートします。
目次
住宅用太陽光発電について最初に知っておいていただきたいのは、
税務上の「法定耐用年数」は17年ですが、実際の機器はそれよりもずっと長持ちする
ということです。
この17年という数字は、税金の計算(減価償却)のために国が定めた期間で、「実際に何年使えるか」とは全く別の話になります。例えば、自動車の法定耐用年数は6年ですが、実際には10年以上乗り続けている方も多いですよね。太陽光発電も同じような考え方で法定耐用年数が存在するのです。
しかし実際の太陽光発電設備は、法定耐用年数をはるかに超えて使い続けることができます。特に実際に発電をする太陽光パネル(モジュール)は技術の進歩で20年〜30年は問題なく発電できるとされています。
太陽光発電システムは複数の機器で構成されており、それぞれ寿命が異なります。マイホームの発電設備として考える際に知っておきたい目安をまとめました。
太陽光パネル自体は25〜30年、場合によっては30年以上稼働している例も多くあります。一方で、パワーコンディショナ(電力変換装置)は10年〜15年程度で交換が必要になることが一般的です。
法定耐用年数を簡単にいうと「税金の計算をするために国が決めた年数」のことです。住宅用太陽光発電の場合は17年と定められています。
これは設備の購入費用を何年間、経費として計上するかを決める数字で「17年で寿命がくる」という意味ではありません。事業用に太陽光発電を導入する方にとっては重要な数字ですが、一般家庭での導入を検討している方は、あまり気にする必要はないでしょう。
一方、
実際の耐用年数とは、メーカーが「この期間は性能を維持できる」と想定している期間
のことです。
資源エネルギー庁によると、太陽光パネルの物理的な耐用年数は25〜30年程度とされています。高品質なパネルでは30年以上使用できるケースもあり、実際には耐用年数を超えても発電し続けることが可能です。
太陽光パネル(モジュール)が長寿命な理由は、 動く部分がほとんどないから です。太陽光パネルは、太陽の光を受けて電気を作る半導体が主な部品です。モーターやファンのような動く部分がないため、摩耗や故障が起こりにくいのが特徴です。屋外に設置されているため多少の劣化はありますが、基本的には故障しにくい構造になっています。
一方、
パワーコンディショナは精密な電子機器
のため、太陽光パネルよりも寿命が短くなります。パワーコンディショナの役割は、太陽光パネルで作られた電気(直流)を、家庭で使える電気(交流)に変換する装置です。
内部にはコンピューターのような精密な部品が使われているため、設置から10年程度で一度点検を受け、必要に応じて交換することが推奨されています。
太陽光発電設備がどのくらい長持ちするのか、実際の事例を見てみましょう。
京セラの佐倉ソーラーセンター では、1984年に設置された太陽光発電システムが40年以上経った現在でも稼働し続けています。30年経過した時点での出力低下はわずか13%で、非常に優秀な成績を維持しています。
奈良県の壷阪寺(つぼさかでら)では、1983年に設置されたシャープ製の太陽光発電システムが40年以上にわたって稼働し続けています。設置から28年後の平成23年に性能評価の試験を行ったところ、劣化の割合が極めて低く、製造時と同レベルの高性能を維持していることがわかったそうです。
以上は産業用の太陽光発電ですが、適切にメンテナンスされた太陽光発電設備は法定耐用年数をはるかに超えて使用できることが分かるでしょう。
太陽光パネルは長期間使用できる一方で、
年月が経つにつれて発電量は徐々に低下していきます。
世界各国で行われた調査結果によると、太陽光パネルの性能低下は年間0.5%〜0.8%程度とされています。これを周年で計算すると
この程度の低下であれば、理論上はまだまだ十分な発電量を期待できるということになります。
多くのメーカーでは、この経年劣化を考慮した 出力保証 を提供しています。近年は25〜30年保証が主流で、「25年経っても初期性能の80%以上を保証」といった内容が一般的です。もし保証期間内に基準を下回った場合は、メーカーが対応してくれるので、契約の際、確認をしましょう。
太陽光発電を長期間安全に使うためには、 定期的なメンテナンスが欠かせません 。2017年のFIT法改正により、住宅用太陽光発電でも定期点検が義務化されました。とはいえ、エアコンや給湯器のような頻繁なお手入れは不要で、他の住宅設備と比べると維持管理は格段にラクです。
太陽光発電設備の耐用年数を考える際に重要なのが、
年月が経つにつれて起こる変化
への対応です。前半でお伝えした通り、太陽光パネルは年間0.5%〜0.8%程度ずつ発電効率が低下します。新築時に月1万円の電気代削減効果があった場合、20年後には約9,000円程度になる計算です。
この劣化は自然現象のため完全に防ぐことはできませんが、
適切なメンテナンスによって最小限に抑える
ことが可能です。
太陽光パネルの劣化要因には以下があります。
マイホームに太陽光発電を設置する際は、メーカー保証の内容をしっかり確認しておくことが大切です。
主要メーカーの保証内容
出力保証では「25年で80%以上の出力を保証」といった基準が一般的です。ただし、保証を受けるためには以下の条件を満たす必要があります。
太陽光発電を長期間安全に使うためには、
4年に1回程度の定期点検
が推奨されています。経済産業省では、点検費用として
1回あたり2万円程度
が相場としています。
定期点検の内容:
※清掃について:清掃作業に業界統一の基準はなく、実際は地域や環境により異なります。黄砂や火山灰の多い地域では専門業者による清掃(1〜3万円/回)が推奨されますが、多くの家庭では雨水による自然洗浄で十分とされています。
太陽光発電設備の維持で最も大きな出費となるのが、
パワーコンディショナの交換
です。
住宅用パワーコンディショナの交換費用:
ただし、 メーカー保証期間内(10〜15年)であれば無償交換 の可能性があります。保証条件を事前に確認しておくことで、この費用負担を避けられる場合があります。ちょっとでも異常を感じたら、早めに動くことが肝心です。
太陽光発電設備の耐用年数期間中には、他の機器でも修理が発生する可能性があります。
主な修理費用の目安:
これらの費用も、設置時の保証内容によってはカバーされる場合があります。
実際の家庭を想定した計算例 をご紹介します。(新築戸建て、5kWシステム搭載の場合)
この試算からも分かるように、太陽光発電設備の耐用年数25~30年を考慮すると、 投資回収後も10年以上にわたって経済効果が期待できます。
FIT制度(固定価格買取制度)による太陽光発電の余剰電力買取期間は10年間です。その後は「卒FIT」と呼ばれ、いくつかの選択肢があります。
卒FIT後の主な選択肢
お子さんのいるご家庭であれば、10年後には中学生になっていることでしょう。その頃には電気自動車も今より普及し、太陽光発電の活用方法もさらに広がっているかもしれません。
太陽光発電設備が設計通りの耐用年数を実現できるかどうかは、
施工品質が大きくかかわって
きます。
新築時に太陽光発電設備の導入を検討される際は、以下の点を工務店やハウスメーカーに確認しましょう。
確認すべきポイント:
マイホームの太陽光発電を長期間安心して使うためには、
自然災害への備え
も重要です。
主な災害リスクと対策:
火災保険の特約で太陽光発電もカバーできる場合があります。新築時の保険検討と併せて確認することをおすすめします。
太陽光発電設備の耐用年数を最大限に活かすためには、日常の管理も大切です。
家庭でできる管理方法:
周りに樹木や野鳥が多いなどの環境によっては、年2回程度の専門業者による清掃を受けることで、発電効率を維持できます。
太陽光発電設備の耐用年数を迎えた後の処理についても、技術的な進歩が期待されています。
現在、経済産業省や環境省が主導してリサイクル技術の開発を進めており、将来的には撤去費用や廃棄費用の負担軽減が期待されています。ガラスやアルミフレームなどは既にリサイクル可能で、技術の進歩により更なる有効活用が見込まれます。
参考:2040年、太陽光パネルのゴミが大量に出てくる?再エネの廃棄物問題|エネこれ|資源エネルギー庁
住宅用太陽光発電設備の耐用年数について、重要なポイントをまとめます。
マイホーム新築計画において太陽光発電の導入を検討する際は、これらの耐用年数や維持費用を含めた
長期的な視点での判断
が肝心です。
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