2023年06月12日
ソーラーパネルの廃棄で生じる問題:30年後太陽光パネルはどうなる?
太陽光パネルの耐用年数は25-30年と言われています。国の支援を受けて太陽光発電の導入は急速に進んでいますが、将来的に太陽光パネルの廃棄が必要になった際、環境に与える影響が懸念されます。環境に優しくリサイクルすることはできないのでしょうか?この記事では太陽光パネルの廃棄や寿命に関する情報を紹介します。
目次
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太陽光パネルの廃棄で生じる問題
太陽光パネルの耐用年数は25-35年と言われています。通常の家電と違い、太陽光パネルは一度設置すると取り外す機会はないと考えられます。しかし万が一故障してしまった際、将来家の建替などで廃棄が必要になった際、太陽光パネルはどうなるのでしょうか?
太陽光発電の2040年問題
国や自治体で懸念されている「2040年問題」をご存じでしょうか?太陽光発電は、2012年にスタートしたFIT制度によって普及の進んでいる再生可能エネルギー設備です。製品寿命は25年-35年程度なので、2040年頃に大量廃棄されると予想されています。
しかし、同時期に大量廃棄されると、最終処分場で処理しきれない可能性があります。資源エネルギー庁の予測によると太陽光パネルの年間廃棄量が、最終処分場の6%に達するデータも公開されています。そこで国や自治体では、パネルの再資源化や処分場の増設といった対策について議論が交わされています。
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現在のパネルの廃棄量
太陽光パネルの大量廃棄は10年以上先と予測されていますが、現在でも破損・自然災害等で一定量のパネルが廃棄されています。
環境省の調査報告書によれば、現在廃棄されている太陽光パネルは年間6000-7000トン、そのうち1.5%-3.3%程度が最終処分されているとあります。
太陽光パネルにはリサイクル可能な価値ある物質が含まれています。きちんとした業者に依頼をすれば約90%がリサイクルされます。
太陽光パネルの廃棄で生じる問題
①住宅解体に伴うケース
太陽光パネルの撤去で一番多く考えられるケースは、住宅を解体するタイミングです。また、住宅の建て替えやリフォームの場合でも太陽光パネルを取り外すことが考えられます。
※リフォームでパネルを撤去する際は処分せず、施工業者に再設置したい旨を相談しましょう。
太陽光パネルが長期間にわたって順調に稼働してきた場合、建物の老朽化での住宅解体で撤去されることは想定の範囲内でしょう。撤去の際には、家の持ち主ではなく、解体業者が排出者(=ごみを出す人)となり、太陽光パネルは産業廃棄物として処理されます。
このケースでは、太陽光パネルだけでなく、建材やその他の廃棄物も同時に処理されるため、解体業者による適切な処分が求められています。
②故障や不具合による撤去のケース
太陽光パネルに故障や不具合が発生した場合、撤去せざるを得ないことが考えられます。太陽光発電を導入すると、15年〜25年程度の製品保証期間があります。この保証期間内に故障や不具合が見つかった場合、太陽光発電の設置を行った業者や販売業者が関わって、撤去と同時に新しいパネルの設置が行われます。
製品不良が原因での撤去の場合、メーカーが排出者となって法的責任を負います。もし、製品不良ではなく、設備不良や配線処理が原因の場合は、施工業者や販売会社が排出者になります。
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③自然災害による破損と撤去のケース
自然災害が原因での太陽光パネルの破損や損傷は、上の二つのケースと比べて予測困難だと言えます。太陽光パネルは耐久性が高くつくられているので、あまり起こらないケースではありますが、地震、落雷、大雪、台風などの突発的な出来事によって太陽光パネルが損傷を受けてしまうことは考えられます。
その状態での継続使用が危険な場合、撤去して産業廃棄物として廃棄が必要となります。また、パネルが完全に落下してしまったケースにおいては、お住まいの市区町村の担当者に確認してその後の対応方法について指示を仰ぐことをおすすめします。
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誰に相談すべき?撤去の前に確認しよう
太陽光発電の所有者が屋根に上り、パネルを取り外すなどの撤去作業を行うことは大変危険なので、必ず購入した販売店や施工業者に依頼しましょう。
倒産や閉業によって販売店や施工業者と連絡が取れない場合は、パネルのメーカーに相談して対応策を見つけるケースもあります。
もしくは、以下の業者一覧からご自宅近辺の施工業者を見つけて連絡を取ることもおすすめです。
参照:JPEA「使用済住宅用太陽電池モジュールの取外しおよび適正処理が可能な太陽光発電システム施工業者一覧表」
https://www.jpea.gr.jp/wp-content/uploads/20231213_allchart.pdf
太陽光パネル廃棄についての検討
こうした太陽光パネルの廃棄に対する懸念に対して、現在リサイクルを含む太陽光パネルの適正処理を進めるために国や自治体で検討が進められています。
情報不足を解消して有害物質を適正に処理
太陽光パネルには微量ではありますが、カドミウム・鉛などの有害物質が含まれています。環境に影響を与えないためにも、適正処理が重要となっています。有害物質の適正処理には、情報不足が課題でした。このため2017年12月に太陽光発電教会が策定した「使用済み太陽光電池モジュールの適正処理に資する情報提供のガイドライン」にもとづき、太陽光パネルメーカーおよび輸入販売業者が、産廃事業者などに積極的に情報提供をおこなっていくことが望まれます。
- <コラム>FITの最新動向:太陽光パネル廃棄への新たな要件
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最新の情報によれば、経済産業省と環境省は太陽光パネルの適切な廃棄を促進するため、FIT(固定価格買い取り制度)の申請要件に変更を加えると発表しました。これにより、太陽光発電事業者は太陽光パネルに関する情報を登録し、その情報が含まれたパネルのみがFITの対象となります。太陽光発電業界は今後、より持続可能で環境に配慮した廃棄プロセスの構築に注力することが求められます。
参照:朝日新聞「太陽光発電パネルの登録、新年度義務化へ 廃棄増対策で経産省」
https://www.asahi.com/articles/ASS1H5726S1HUTFK001.html
太陽光パネルのリユース・リサイクル促進
最終処分場のひっ迫を緩和し、資源の有効活用を図るためには、太陽光パネルのリユース・リサイクルを促進する必要があります。現時点では大量廃棄が発生していないことから、リユース・リサイクル・処分の実態が把握できていません。まずは正確な実態を把握し、リサイクル制度の必要性について検討を進めていく必要があります。
まとめ
皆さんのご家庭に設置されている太陽光発電システムを廃棄する機会は、まだまだ先であると考えられます。しかし太陽光パネルの廃棄問題に対し、今から私たちができることは
①定期的なメンテナンスで少しでも長く太陽光発電システムを使えるようにする
②廃棄が必要になった際は、適切な専門業者へ依頼をする
③将来の「もしも」に備えて太陽光パネル廃棄に対する情報を収集する
上記の3点かもしれません。
近年では国や自治体により太陽光パネルの廃棄問題についての議論が重ねられています。
持続可能な再生エネルギーを今後も普及させるためにも、太陽光パネルの廃棄問題の動向には引き続き関心を持つ必要があります。
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