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2025年09月22日

災害時に強い蓄電池とは?在宅避難の備えと選び方【2025】

災害時に強い蓄電池とは?在宅避難の備えと選び方【2025】

【保存版】災害時に強い蓄電池ガイド。停電対策の基本から、太陽光との併用、必要容量と出力の決め方、200V家電対応、切替時の瞬断、安全運用や72時間モデルまで網羅。集合住宅の工夫や発電機の注意、補助金の確認ポイントも。2025年版、実践解説。

電気代さげるなら

蓄電池は災害時に本当に役立つ?【先に結論】

「蓄電池 災害時」で検索される方の多くは、
「そもそも本当に役立つのか」「どれくらいの時間もつのか」「どのタイプを選べばいいか」を知りたい段階です。

結論から言うと、太陽光発電+家庭用蓄電池の組み合わせは、停電が数日続くような大規模災害でも在宅避難を現実的にする、とても有効な備えです。

  • ① 停電時も生活インフラを最低限キープ
    冷蔵庫・照明・通信機器など「命と健康に直結する家電」を優先して動かせます。
  • ② 太陽光と組み合わせれば“燃料切れ”になりにくい
    昼は発電しながら余剰分を蓄電、夜は蓄電池から放電するサイクルで、長期停電にも対応しやすくなります。
  • ③ 発電機より安全・静音で、屋内でも使いやすい
    排気ガスが出ず騒音も少ないため、発電機と比べてご家庭・近隣ともに安心して使いやすいのが特徴です。

以下では、災害時にどれくらい使えるのか、どんなタイプを選べばよいのかを、できるだけ具体的に解説していきます。

災害時に蓄電池は何時間もつ?容量別のざっくり目安

実際にどれくらいの時間もつのかは「使う家電」と「季節」で大きく変わりますが、
標準的な4人家族・電気の使い方を前提にしたざっくり目安は以下の通りです。

蓄電容量の目安 主な使い方 停電時のイメージ
約4〜5kWh 冷蔵庫+照明数カ所+スマホ/Wi-Fi ほぼ1日(24時間前後)を「最低限の生活レベル」で過ごせる
約7〜9kWh 上記+テレビ or 扇風機/小型エアコンなど 優先順位をつければ、2日程度を在宅避難でしのげる
約10〜12kWh 冷蔵庫+照明+通信+エアコン1台など 太陽光発電と組み合わせれば、3日程度の長期停電にも現実的に対応可能

※実際の持ち時間は、季節・天候・太陽光の有無・使う家電の数によって大きく変化します。
本記事後半では、太陽光5kW+蓄電池10kWhを想定した「72時間モデル」の詳細なシミュレーションも掲載しています。

定置型とポータブル、災害時はどちらを選ぶべき?

蓄電池といっても、大きく分けると次の2タイプがあります。

  • 家庭用の「定置型蓄電池」…太陽光発電と連携し、分電盤経由で家全体/一部の回路に給電するタイプ。
  • 持ち運べる「ポータブル蓄電池」…コンセントやUSBから直接家電をつなぐタイプ。キャンプや車中泊にも使える。

本記事では、在宅避難を前提とした「定置型+太陽光」を中心に解説します。
一方で、賃貸住宅やマンションで「まずは防災用に1台持っておきたい」という方には、ポータブル蓄電池の選び方もあわせてご覧いただくとイメージしやすくなります。


前提条件と試算の透明性について

本記事では、蓄電池の災害時運用について実用的な情報提供を行うため、以下の前提条件を設定しています。

  • 周囲温度:25℃想定(性能に影響するため明記)
  • DoD(放電深度):80-90%(リチウムイオン電池標準値)
  • PCS効率:95%前提
  • 家電消費電力:一般的な製品仕様値を参照
  • 季節変動:夏季・冬季の負荷差を考慮した試算

これらの条件下での試算結果であることを予めご了承ください。

太陽光+蓄電池が最適解

災害時における電力確保の課題に対して、太陽光発電システムと定置型蓄電池の組み合わせが最も実用的な解決策となります。この結論に至る理由は、昼間の発電能力と夜間の蓄電活用により、長期停電にも対応できる持続可能性にあります。

昼発電・夜蓄電(自立運転)

太陽光発電と蓄電池のシステムは、停電時に自立運転モードに自動切替することで、家庭への電力供給を継続します。ただし重要なポイントとして、この切替時には瞬間的な停電(瞬断)が発生します。これは無停電電源装置(UPS)とは異なる特性であり、精密機器を使用する際は注意が必要です*¹。

停電検知後約5秒前後で自立運転へ移行し、復電時は数分~最大5分で自動復帰します(機種差あり)。昼間は太陽光パネルが発電した電力を直接使用し、余剰分を蓄電池に貯めます。夜間や悪天候時は、蓄電池から放電して家電製品を稼働させる仕組みです。この昼夜のサイクルにより、燃料補給の心配なく長期間の電力確保が可能となります。

自動切替機能により、在宅避難中の手動操作は基本的に不要ですが、切替時の瞬断は避けられないため、重要なデータは事前にバックアップしておくことが推奨されます*²。

選定ポイント(容量・出力・200V・負荷方式)

蓄電池選定時に確認すべき最重要項目は以下の5つです。

項目 確認ポイント 災害時への影響
容量(kWh) 何時間電気を貯められるか 長期停電への耐久性
出力(kW・kVA) 同時使用できる家電の総電力 使える家電の種類・数
200V家電対応 IH・エアコン・エコキュート等 冷暖房・調理の継続性
特定負荷or全負荷 停電時に使える回路の範囲 生活の利便性
自動切替 手動操作なしで自立運転 夜間停電時の安全性

容量は「何時間使えるか」、出力は「どれだけの家電を同時使用できるか」を決定します。例えば、10kWhの容量があっても出力が2kWの場合、エアコン(1.5kW)と電子レンジ(1.0kW)の同時使用時は出力不足となる可能性があります。

200V家電への対応では、自立出力は1.5-2kVA~5.9kVAと幅があり、200V機器を使うなら4kVA以上が目安となります。対応機種では停電時自立出力4kVA以上の仕様が代表例です*³。

ポータブル・発電機の適不適

ポータブル電源単体や発電機単体には、それぞれ災害時運用における制約があります。

ポータブル電源の制約

  • 容量が小さく、長期停電への対応力が限定的
  • ソーラー充電機能なしの機種は燃料切れ同様の問題
  • 出力不足により大型家電(エアコン等)が使用不可
  • 室内での安全な使用は可能だが、容量の制約が大きい

発電機の制約

  • 屋内・半屋内は絶対禁止(一酸化炭素中毒のリスク)*⁴
  • 窓・ドア・換気口から十分離れた屋外(例:3m以上)での使用が必要
  • 燃料(ガソリン・ガス)の調達と保管の問題
  • 運転時の騒音が近隣トラブルの原因となる可能性
  • 排気ガスによる環境への影響

消費者庁の注意喚起によると、発電機による一酸化炭素中毒事故は毎年発生しており、「屋外の開口部から離れた場所での使用」が厳格に求められています⁴。また、長期停電時の燃料調達は困難を極めるため、持続可能性の観点でも課題があります。

これらの制約を総合的に検討すると、太陽光発電との併用による定置型蓄電池が、安全性・持続性・利便性のバランスに最も優れた選択となります。ただし、達成可否は晴天率・負荷・機器構成により異なることを考慮した設計が重要です。

出典・参考資料
*¹ オムロン ソーシアルソリューションズ「マルチ蓄電プラットフォーム カタログ」
*² 京セラ「蓄電池の災害時の活用方法と選び方」(2023/10/13)
*³ オムロン ソーシアルソリューションズ「停電時自立出力と200V家電対応」技術資料
*⁴ 消費者庁「携帯発電機やポータブル電源の事故に注意!」(2021/08/25)

災害と停電の現実

災害による大規模停電は決して珍しい出来事ではありません。過去の事例を検証することで、蓄電池による在宅避難の必要性がより明確になります。

過去の主な停電例

2019年台風15号(房総半島台風)の停電被害:

経済産業省の検証報告書によると、千葉県を中心に最大約93.5万戸が停電し、一部地域では復旧まで2週間以上を要しました*⁵。特に山間部や沿岸部では、送電線の復旧工事が難航し、長期停電を余儀なくされた世帯が多数発生しました。

復旧日数の地域差:

  • 市街地:3-5日程度
  • 郊外・山間部:7-14日
  • 一部離島・沿岸部:14日超

2016年熊本地震の停電被害:

内閣府の災害記録によると、最大約47.7万戸が停電し、震度7を記録した益城町周辺では復旧まで1週間以上かかった地域もありました*⁶。地震による設備損壊は台風とは異なる復旧の困難さがあり、余震の継続により復旧作業が度々中断されました。

これらの事例から、復旧までの期間が予測困難であることが分かります。「明日には復旧するだろう」という楽観的な見通しが通用しない現実があり、最低でも72時間、場合によっては1-2週間の電力確保を想定した準備が必要です。

在宅避難の重要性

災害時の避難所生活と比較して、在宅避難には以下の明確なメリットがあります。

通信手段の確保 携帯電話・Wi-Fiルーターの充電継続により、安否確認や情報収集が可能です。災害時は通信インフラも不安定になるため、複数の通信手段を維持できることは生命線となります。
食品保存の継続 冷蔵庫の運転継続により、食料の腐敗を防げます。特に乳幼児や高齢者がいる家庭では、適切な食品保存は健康維持に直結します。停電による食中毒のリスクを回避できることは重要な安全対策です。
冷暖房による健康管理 夏季の熱中症、冬季の低体温症リスクを軽減できます。避難所では空調管理が困難な場合が多く、特に体温調節機能が低下している高齢者には生命に関わる問題となります。
医療機器の継続運転 在宅酸素療法器、CPAP(睡眠時無呼吸症候群治療器)、電動ベッドなど、生命維持や生活の質に欠かせない医療機器を継続運転できます*⁷。
出典・参考資料
*⁵ 経済産業省「台風15号に伴う停電復旧プロセス等に係る検証」(2019/10/03)
*⁶ 内閣府「熊本地震 ライフライン被害」防災ポータルサイト
*⁷ 東京ガス みらいほ「蓄電池が災害時に果たす役割や選び方」(2024/08/26)
*⁸ 同上

基礎:自立運転と負荷方式

蓄電池システムの災害時動作を正確に理解することは、適切な運用と期待値設定のために重要です。多くのユーザーが誤解しやすいポイントを含めて解説します。

自動切替と瞬断

蓄電池システムの自立運転は、無停電電源装置(UPS)とは根本的に異なる動作原理です。この違いを理解していないと、実際の停電時に予期しない問題が発生する可能性があります。

切替時の瞬断について:

  • 停電検知から自立運転開始まで:約5秒前後(機種差あり)
  • この間、家庭内は完全に停電状態
  • パソコンや精密機器は瞬断により停止・再起動
  • 冷蔵庫等の家電は瞬断後に自動復旧

オムロンの技術資料によると、自立運転への切替は「系統との連系を安全に遮断してから開始される」ため、瞬断は単独運転防止機能による必要な動作です*³。

復電時の自動復帰:

  • 系統電力の復旧を検知後、数分~最大5分で自動復帰(機種差あり)
  • 復帰時も短時間の瞬断が発生
  • 手動操作は基本的に不要
  • 蓄電池への充電も自動再開

特定負荷と全負荷

停電時に使用できる回路の範囲は、設置時の配線方式によって大きく異なります。

特定負荷方式:

  • 事前に選定した回路(通常4-6回路)のみが停電時使用可能
  • リビング、キッチン、寝室など重要エリアを選定
  • 出力・容量が比較的小さな蓄電池でも対応可能
  • 導入コストを抑制できる
  • 配線工事の規模が限定的

全負荷方式:

  • 家中のすべての回路が停電時も使用可能
  • より大容量・高出力の蓄電池が必要
  • 200V回路(IH・エアコン・エコキュート)も使用可能
  • 災害時の利便性は最大だが導入コストは高額
  • 分電盤の大幅な改修が必要な場合がある

選択の目安:

  • 在宅避難を前提とし、生活の質を維持したい → 全負荷
  • 最低限の電力確保で充分 → 特定負荷
  • 200V家電の使用が必須 → 全負荷(一部例外あり)

200V家電の条件

200V家電の災害時使用は、快適な在宅避難を実現するための重要な要素です。しかし、使用には複数の条件を満たす必要があります。

対応機種の確認:

  • 蓄電池本体が200V出力に対応している
  • 自立出力は1.5-2kVA~5.9kVAと幅があり、200V機器を使うなら4kVA以上が目安
  • 単相200V・三相200Vの区別(家庭用は単相200V)

主な200V家電と消費電力:

家電 消費電力目安 災害時の価値
IHクッキングヒーター 3.0kW 調理手段の確保
エアコン(6畳用) 1.5-2.5kW 冷暖房による健康維持
エコキュート 4.5kW(沸上時) 給湯・暖房の継続
電気温水器 3.0-4.0kW 給湯の継続

配線・設定の条件:

  • 200V回路が全負荷回路に含まれている
  • または特定負荷として200V専用回路を設定
  • 分電盤での適切な回路分離
  • 漏電ブレーカーの容量確認

太陽光発電単体の自立運転について:

PV単体の自立は1500W専用コンセットが代表例です。蓄電池連携なら分電盤側へ給電可能となり、より多くの家電を使用できます*¹。

同時使用時の注意点:

  • IH使用中は他の高出力家電との同時使用を避ける
  • エアコンとエコキュートの同時運転時は出力計算を慎重に
  • 自動制御による負荷分散機能の有無を確認

オムロンの製品仕様によると、200V家電使用時は「蓄電池の瞬時最大出力と持続出力の両方を確認する」ことが推奨されています*³。例えば、IHの立ち上がり時には定格以上の電力を一時的に消費するため、余裕を持った出力設計が必要です。

これらの条件を満たすことで、災害時でも平常時に近い生活環境を維持できるため、長期間の在宅避難が現実的な選択肢となります。ただし、実際の使用可能時間は機器構成・負荷・環境条件により異なることを考慮した運用が重要です。

出典・参考資料
*¹ (※脚注候補:太陽光発電の自立運転仕様について – メーカー技術資料)
*³ オムロン ソーシアルソリューションズ「停電時自立出力と200V家電対応」技術資料

容量別ランタイムと家電優先度

具体的な蓄電池容量に対する使用可能時間と、災害時に重要度の高い家電の優先順位を整理します。これにより、限られた電力を最も効果的に活用する指針を提供します。

容量×負荷の目安表

以下の条件下での使用可能時間を表にまとめました:

  • 周囲温度:25℃
  • DoD(放電深度):90%
  • PCS効率:95%
  • 実用係数:0.8~0.9(上記要因の複合、機種・環境により変動)

ランタイム一覧表(本記事試算)

蓄電池容量 消費電力0.3kW 消費電力0.6kW 消費電力1.0kW
15-18時 暖房継続 暖房1台に制限 電気毛布準備
18-22時 暖房+調理 暖房1台+調理 電気毛布+調理
22-6時 暖房1台継続 電気毛布に切替 電気毛布+厚着

中間期スケジュール(4-5月、10-11月)

時間 晴天時 曇天時 雨天時
6-9時 全家電自由使用 調理+洗濯 冷蔵庫+照明+通信
9-15時 高負荷家電集中 順次使用 必要最小限
15-18時 継続使用OK 制限開始 省エネモード
18-22時 通常使用 やや制限 最小限使用
22-6時 基本負荷のみ 基本負荷のみ 基本負荷のみ

PV+蓄電池の推奨セット

太陽光発電と蓄電池の組み合わせにおける最適なバランスを、用途別に整理します。

推奨セット構成

用途 太陽光容量 蓄電池容量 蓄電池出力 想定費用目安
最小構成 3kW 5kWh 2kW 150-200万円程度
標準構成 5kW 7-10kWh 3kW 200-280万円程度
充実構成 6-7kW 12-15kWh 5kW 300-400万円程度
最大構成 10kW 20kWh以上 6kW以上 500万円以上

※費用は設置条件・補助金により変動

容量バランスの考え方:

目安の比率
太陽光容量(kW) × 4-6時間 ≒ 蓄電池容量(kWh)

例:5kW太陽光 × 5時間 = 25kWh相当
→ 蓄電池容量10kWhなら、晴天時に2.5回転相当の充電可能

この比率により、晴天時は蓄電池を満充電にしつつ、昼間の家電使用も十分にカバーできます。曇天時でも蓄電池容量の50%以上の充電が期待でき、継続的な運用が可能となります*¹⁴。

運用実績の目安:

適切に設計されたシステムでは、地域・季節・設計条件次第で高頻度の自給が可能となります。災害時72時間運用についても、晴天率や負荷次第で達成可能です。1週間以上の長期停電への対応は、晴天日50%以上の条件下で継続可能な場合が多くなります。

京セラの技術資料によると、適切に設計されたシステムでは「太陽光発電による昼間充電で、夜間の基本負荷を賄う運用が多くの日数で実現可能」とされています*¹²。

出典・参考資料
*¹² 京セラ「停電時運用解説」技術資料
*¹³ オムロン ソーシアルソリューションズ技術資料
*¹⁴ 本記事試算(容量バランス計算)

※実際の継続時間は環境温度・蓄電池の劣化状況・負荷変動により変わります

負荷別の内訳例:

0.3kW負荷の構成例
・冷蔵庫:0.15kW
・LED照明(3箇所):0.06kW
・Wi-Fiルーター:0.02kW
・携帯電話充電:0.05kW
・その他待機電力:0.02kW
0.6kW負荷の構成例
上記0.3kW負荷 + エアコン6畳用(省エネ運転):0.3kW
1.0kW負荷の構成例
上記0.6kW負荷 + テレビ・パソコン等:0.4kW

家電の優先順位

災害時における家電の重要度は、生命安全と情報収集を最優先とし、快適性は後回しとする考え方が基本です。

優先度ランキング

優先度 家電カテゴリ 消費電力目安 重要な理由
1位 通信機器 0.1kW 安否確認・情報収集・救助要請
2位 照明 0.1kW 夜間の安全確保・作業継続
3位 冷蔵庫 0.15kW 食品保存・食中毒防止
4位 医療機器 0.05-0.3kW 生命維持・健康管理
5位 基本的冷暖房 0.5-1.5kW 熱中症・低体温症防止
6位 調理機器 0.8-3.0kW 温かい食事・衛生的な調理
7位 給湯・入浴 1.0-4.0kW 衛生維持・体温調節
8位 娯楽・情報機器 0.2-0.5kW ストレス軽減・情報娯楽

具体的な家電消費電力(代表例):

【通信・情報関連】
・携帯電話充電器:5-10W
・Wi-Fiルーター:15-30W
・ノートパソコン:30-65W
・タブレット充電:10-15W
【照明】
・LED電球(60W相当):8-12W
・LED照明器具:20-40W
・懐中電灯(LED):1-3W
【生活必需品】
・冷蔵庫(400L):150-200W
・冷凍庫:100-150W
・扇風機:20-50W
・電気毛布:30-80W
【調理関連】
・炊飯器:300-800W(炊飯時1300W)
・電子レンジ:500-1000W
・IHクッキングヒーター:1000-3000W
・電気ケトル:800-1200W
【冷暖房】
・エアコン6畳用:400-1500W
・エアコン12畳用:600-2500W
・石油ファンヒーター:300-700W
・電気ストーブ:500-1200W

停電時の運用と落とし穴

蓄電池システムの災害時運用では、事前の準備と正しい知識が安全性と実用性を大きく左右します。よくある問題とその対策、そして重要なQ&Aをまとめて解説します。

使えない原因チェック10項目

災害時に「蓄電池があるのに電気が使えない」という事態を避けるため、事前確認すべき項目を優先度順に整理します。

緊急時チェックリスト

項目 確認内容 対処法
1. SOC(充電残量) 蓄電池の残量表示確認 20%以下なら太陽光充電・商用充電
2. 自立運転設定 自動切替がONになっているか 設定画面で自立運転を有効化
3. 出力ブレーカー 蓄電池側のブレーカー確認 落ちていれば上げ直す
4. 負荷側ブレーカー 使用したい回路のブレーカー 分電盤で該当回路を確認
5. 出力オーバー 同時使用電力の計算 高負荷家電を個別に切り分け
6. 200V回路設定 200V家電使用時の配線確認 全負荷回路に含まれているか
7. BMS保護動作 温度・電圧保護の作動状況 冷却・換気、メーカー連絡
8. PCS異常 インバータの動作状況 エラーコード確認、リセット
9. 切替方式 手動・自動の切替設定 マニュアルで切替方式確認
10. 単独運転防止 系統連系保護装置の状況 復電時の自動復帰待ち

頻発する問題と対策

【問題1】容量があるのに出力不足で家電が動かない
原因:出力(kW)と容量(kWh)の混同
対策:同時使用電力を蓄電池出力以下に制限
【問題2】200V家電が使用できない
原因:特定負荷回路に200V回路が含まれていない
対策:全負荷システムまたは200V専用回路の追加
【問題3】夜間に自動で切り替わらない
原因:自立運転設定がOFF、またはSOC不足
対策:設定確認と充電残量管理
【問題4】復電後に自動復帰しない
原因:単独運転防止装置の安全機能
対策:10分程度待機、改善しなければリセット

オムロンの技術資料によると、これらの問題の多くは「事前の設定確認と使用方法の理解」で回避可能とされています³。特に災害時は冷静な判断が困難になるため、平常時の確認作業が重要です。

事前→発生→復旧の安全運用

災害対応の時系列に沿った安全運用のポイントを整理します。

事前準備段階(平常時)

【蓄電池の準備】
□ 定期的な満充電(月1回以上)
□ 自立運転の動作確認(年2回)
□ 家電使用優先順位の決定・共有
□ 取扱説明書の保管場所確認
□ 緊急連絡先(メーカー・施工業者)の整理
【発電機の準備(該当者のみ)】
□ 燃料の適量備蓄(消防法遵守)
□ 屋外設置場所の確認・整備
□ 近隣への事前説明・了解
□ 換気・風向き確認の手順習得

災害発生段階

【停電直後(0-30分)】
1. 人身安全の確認(最優先)
2. 蓄電池自動切替の確認
3. 使用可能家電の選別・優先順位づけ
4. 近隣状況・被害程度の把握
【初期対応(30分-6時間)】
1. 情報収集(停電範囲・復旧見込み)
2. 家電使用の最適化・省エネ運用開始
3. 必要に応じて発電機準備(屋外のみ)
4. 食料・水の確保状況確認

発電機使用時の厳格ルール

消費者庁の注意喚起を踏まえた安全基準

【設置条件】
建物開口部から最低3m離す
・風下に建物がない位置を選定
・平坦で安定した地面に設置
・燃料補給時は必ずエンジン停止
【運転条件】
・昼間時間帯のみ(8:00-18:00)
・連続運転は最大4時間まで
・運転中は必ず監視者配置
・異常時は即座に停止
【禁止事項】
屋内・車庫・ベランダでの使用
・窓・ドア・換気口付近での使用
・就寝中・外出中の無人運転
・燃料満タンでの保管

復旧段階

【復電時の注意(自動復帰)】
1. 系統電力復旧の確認(約1-3分で自動復帰)
2. 蓄電池の充電開始確認
3. 全家電の正常動作確認
4. 発電機がある場合は速やかに停止・撤収
【復旧後の点検】
□ 蓄電池システムの動作異常有無
□ 家電製品の動作確認
□ 冷蔵・冷凍食品の状態確認
□ 次回災害への準備・改善点整理

よくある誤解とリスク

災害時に陥りやすい認識違いと、その回避策を解説します。

落とし穴1:UPS同等という誤解

【誤解】蓄電池は無停電電源装置と同じ
【現実】切替時に3-10秒の瞬断が必ず発生

【影響例】
・パソコンが突然シャットダウン
・ネットワーク機器の再起動
・医療機器の一時停止
・時計・タイマーのリセット

【対策】
精密機器には別途UPSを併用
重要なデータは事前にバックアップ
医療機器は瞬断対応の確認

落とし穴2:容量と出力の混同

実際のトラブル例と計算方法

【事例】10kWh蓄電池なのにエアコンが動かない
問題:出力が2kWの機種だったため

計算例:
エアコン(1.5kW)+ 冷蔵庫(0.15kW)+ 照明(0.2kW)+ TV(0.15kW)
= 2.0kW → 出力2kWの蓄電池では限界

【対策】
同時使用電力を出力以下に制限
時間差使用による負荷分散
高出力蓄電池への変更検討

落とし穴3:ポータブル電源の過信

【誤解】大容量ポータブルがあれば長期間大丈夫
【現実】充電手段がないと2-3日で電力枯渇

【容量別の限界】
500Wh:照明・通信で約1-2日
1000Wh:基本家電で約1-2日
2000Wh:エアコン使用で約6-12時間

【対策】
ソーラーパネルとのセット導入
複数台での相互補完
定置型蓄電池の補助としての位置づけ

まとめ

災害時における蓄電池の効果的活用には、以下の要素が重要です。

技術的要素

  • 適切な容量・出力の選定
  • 太陽光発電との併用
  • 全負荷または適切な特定負荷設計
  • 200V家電対応(必要に応じて)

運用的要素

  • 家電使用の優先順位付け
  • 同時使用電力の管理
  • 天候に応じた負荷調整
  • 定期的な動作確認・メンテナンス

安全要素

  • 正しい知識に基づく操作
  • 発電機使用時の厳格な安全管理
  • 緊急時の連絡体制整備
  • 近隣との連携・情報共有
重要なポイント
リベラルソリューションの分析によると、「適切に設計・運用された蓄電池システムは、災害時の在宅避難において95%以上の確率で期待された機能を発揮する」とされています。重要なのは、技術的な仕様だけでなく、使用者の理解と適切な運用準備です。

災害はいつ発生するか予測できません。平常時からの準備と知識習得により、いざという時に蓄電池が真の力を発揮し、家族の安全と快適な在宅避難を実現できるでしょう。

FAQ

実用性に関するよくある質問と、具体的な回答をまとめます。

Q1:5kWhで何時間使える?

A: 使用する家電により大きく異なります。

使用例別の継続時間

最小限負荷 冷蔵庫+照明+通信:0.3kW → 約14時間
基本負荷 上記+TV+扇風機:0.6kW → 約7時間
通常負荷 上記+エアコン1台:1.2kW → 約3.5時間
高負荷 上記+調理機器:2.0kW → 約2時間
※実用係数0.85を考慮した計算値
東京ガスの家電消費目安によると、「災害時の現実的な使用パターンでは1kW前後の負荷となることが多く、5kWhで4-6時間程度の継続が一般的」とされています。

Q2:エアコンは何時間?

A: エアコンの消費電力と設定により大幅に変動します。

エアコン消費電力別の継続時間(5kWh蓄電池)

6畳用(0.4kW) 約11時間(他の家電併用で約6-8時間)
10畳用(0.8kW) 約5時間(他の家電併用で約3-4時間)
14畳用(1.2kW) 約3.5時間(他の家電併用で約2-3時間)

省エネ運転のコツ

  • 設定温度を夏28℃、冬20℃に調整
  • 風量を弱・自動に設定
  • 部屋の断熱(カーテン・扉の活用)
  • 人のいない部屋は停止

Q3:発電機と併用の注意点

A: 安全な併用には厳格なルールと手順が必要です。

併用時の基本ルール

  1. 同時運転は絶対禁止
    蓄電池→発電機、発電機→蓄電池の切替時は必ず一旦全停止
  2. 切替手順の厳守
    ①現在の電源を完全停止 ②主幹ブレーカーをOFF ③切替作業実施 ④新電源の動作確認 ⑤主幹ブレーカーをON
  3. 発電機からの蓄電池充電
    対応機種のみ可能(メーカー確認必須)
    充電中は他の家電使用を制限

Q4:蓄電池のみで災害対応できる?

A: 短期間は可能ですが、長期停電には限界があります。

蓄電池単体の限界

  • 充電手段が商用電力のみ
  • 停電時は新たな充電ができない
  • 容量が尽きれば機能停止

推奨容量(太陽光なしの場合)

1-2日対応 10-15kWh
3-5日対応 20-30kWh(高額になるため非現実的)

代替案

  • 大容量ポータブル電源の複数台体制
  • 近隣での充電機会の確保
  • 発電機との併用(安全ルール厳守)

Q5:マンションでの備え方

A: 制約は多いですが、効果的な対策は可能です。

マンション向け対策

基本:ポータブル電源2-3台 + ソーラーパネル
容量:1-2kWh機種を複数台でローテーション
充電:ベランダ設置小型ソーラーパネル(100-200W)

注意事項

  • 管理規約の事前確認(ソーラーパネル設置)
  • 近隣への配慮(日照・美観)
  • 共用部での充電・保管は禁止
  • 避難時の持ち出し計画

Q6:医療機器使用時の注意点

A: 生命に関わるため、特に慎重な準備が必要です。

重要な確認事項

  • 医療機器の消費電力・連続使用時間
  • 停電時の自動停止機能の有無
  • バックアップ電源(内蔵バッテリー)の持続時間
  • 200V機器の場合は対応蓄電池必須

推奨対策

  1. 医療機器専用のUPS併用
  2. 蓄電池容量は必要量の2倍以上を確保
  3. 医療機関・訪問看護との連携体制
  4. 緊急時の避難先(電源確保可能施設)確保

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ソーラーメイト編集部

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