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    燃料費調整単価の推移や電気代高騰の仕組みをご紹介!

2023年05月24日

【2024年3月最新】各電力会社の電気代値上げ状況</br>燃料費調整単価の推移や電気代高騰の仕組みをご紹介!

【2024年3月最新】各電力会社の電気代値上げ状況
燃料費調整単価の推移や電気代高騰の仕組みをご紹介!

2021年9月から、電気代の高騰がはじまりました。生活スタイルや地域により異なりますが、中には電気代が2倍になったという方もいるのではないでしょうか?電気代が変動する要因はさまざまですが、「燃料費調整」が大きな鍵を握っています。この記事では電気代高騰の原因と各電力会社の動きについて紹介いたします。

なぜ、電気代が高くなっている?

2021年9月から電気代の高騰が始まり、電気代高騰のニュースがお茶の間をにぎわせました。まずはなぜ、電気代が高くなってしまったのか原因についてご紹介いたします。

原因1:国際情勢の影響

国産資源の乏しい日本は、エネルギー資源のほとんどを海外からの輸入に頼っています。

現在の日本はエネルギー消費が他国と比較して大きい上に、エネルギー資源の約9割程度を海外の輸入に頼っている状況です。そのためエネルギー事情は輸入先や国際情勢の変化から非常に影響を受けやすくなっています。

<国際情勢の影響例>

・ロシアによるウクライナ侵攻の影響

・世界的にエネルギー需要が増大

・円安の影響

原因2:燃料費調整単価の高騰

前述の「国際情勢の影響」を大きく受けているのが「燃料費調整単価」です。

燃料費調整制度とは、火力発電に必要な燃料(原油・石炭・液化天然ガス)の価格変動を、毎月の電気料金に反映させる仕組みです。

日本はエネルギー資源のほとんどを海外からの輸入に頼っているため、発電に使用するエネルギー資源の価格をコントロールすることができません。ですので、発電に使用する「燃料費」を含めて電気料金を固定にしてしまうと、輸入元のエネルギー資源が高騰した場合、日本の電力会社は損失を受けることになります。

 

そのような事態を回避するため、日本の電気料金には料金変動制の燃料費調整制が設けられています。

参照:資源エネルギー庁「燃料費調整制度について」

https://www.meti.go.jp/shingikai/santeii/pdf/091_01_00.pdf

 

燃料費調整単価は3か月の平均燃料価格によって算出され、2か月後の電気料金に反映されるようになっています。
燃料費に大きく影響するような国際情勢の変化が起こった場合、その約半年後の電気料金に反映することになります。ですので、電気料金が変わる見通しを前もって立てられるともいえます。

 

以下のグラフは東京電力の燃料費調整単価の推移です。

燃料費調整単価の推移2022~2024年4月

2021年9月ごろから右肩上がりを続けた燃料費調整単価の値上がりは、2022年10月にピークに達しました。2022年の秋から2023年の年明けまでは電気料金がかなりの高騰となり、大打撃を受けたご家庭も少なくないのではないでしょうか。

 

2023年からは燃料費調整単価の高騰は抑えられている
上記の東京電力の燃料費調整単価のグラフをみると、2023年2月に一気に単価が下がり、その後も2023年9月まで下降を続けました。2024年現在は再度上昇傾向にありますが、2022年ほどの上昇は見受けられません。


しかし、単価が変動する燃料費調整制度がある限りは、次またいつ燃料費の高騰が起こるか分かりません。社会情勢を見守りつつ、家庭の電気代については常に対策を用意しておくことが大切です。

 

東京電力だけではなく各電力会社で燃料費調整単価は変動しているので、興味のある方はご自身の契約されている電力会社の燃料費調整単価の推移を確認してみると良いかもしれません。

 

参考:TEPCO「燃料費調整単価等一覧」

https://www.tepco.co.jp/ep/private/fuelcost2/newlist/index-j.html

燃料費調整単価に上限はあるの?

国際情勢によって変動する燃料費調整単価ですが、上限はあるのでしょうか?

答えは「電力会社・プランによって上限はある」です。

電気料金のプランは「規制料金」と「自由料金」の2つに分けることができます。

電気料金だけでなく燃料費調整費単価についても

・規制料金:燃料費調整費単価の上限あり

・自由料金:燃料費調整費単価の上限なし

※燃料費調整費単価の上限金額については電力会社により異なります

 

自由料金はお得なプランもありますが、燃料費調整単価が高騰した場合、電気代が急激に上がってしまう可能性があります。プラン選択の際は、燃料費調整制度についても気に留めることが大切です。

電気料金制度や電力自由化についておさらい!

電気代の高騰については気になるけど、いざ調べてみると様々な制度や用語が出てきて混乱する、、という経験はないでしょうか。電気料金についての制度や電力自由化についてここでおさらいしておきましょう!


電気料金制度や電力自由化についておさらい!

①電力自由化

電力自由化前、日本の電力は独占企業10社による地域別の電力供給体制でした。そのような独占体制を見直し、消費者の選択の幅を広げるため、電力自由化が進められました。

 

自由になった点①:企業による電力供給サービスの参入、新電力会社の登場

電力自由化したことで、電力以外を取り扱う企業も電気を供給できるようになりました。
スマートフォンの通信料と自宅の電気料金をセットにしたプランや、ガスとセットのプランなど様々なプランが登場し、消費者の選択肢が広がりました。

 

自由になった点②:電気料金の設定

電力自由化により供給されるプランの電気料金は「自由料金」と呼ばれ、法令で定められた費目を除き、企業の裁量で金額を決めることができます。
料金プランの自由度が高いため、お得なプランが選択できる一方、燃料費調整単価の上限設定に制限がなく、燃料価格が高騰した場合に電気代が一気に高騰する可能性があります。

参考:資源エネルギー庁「料金設定の仕組みとは?」

https://www.enecho.meti.go.jp/category/electricity_and_gas/electric/fee/stracture/pricing/

 

自由でお得なプランを選べるようになった一方、顧客確保や利益が予測を下回った結果 新規参入した企業の倒産や事業撤廃が起こる可能性があります。
そのような事態になった場合、いきなり電力が使えなくなるという可能性は低いですが、サービス終了までに新しい電力会社の選定が必要になります。

 

②「規制料金」と「自由料金」

現在の電気料金プランは「規制料金」と「自由料金」に分けられています。 こちらも電力自由化に大きくかかわっています。

 

自由料金:電力自由化後に登場した電気料金プラン

法令で定められた費目を除き、企業の裁量で金額を決めることができます。

 

規制料金:電力自由化前から提供されているプラン

電力自由化前から電力を供給していた電力会社による電力料金プランですが、「規制」とついている通り、料金設定や燃料費調整単価の設定に上限があります。
電力自由化の際に、一度に全ての規制を撤廃することによる混乱防止や独占状態を防ぐため、提供が継続されました。当初は電力自由化による体制が安定するまでの一時的な措置であり「経過措置料金」とも呼ばれます。
2020年3月末に廃止予定でしたが、2024年現在も規制料金の提供が継続されています。

 

電気代高騰のニュースなどで、「電力会社が値上げを申請」という言葉を耳にしたことはないでしょうか。

規制料金の電力プランの電気料金単価を値上げする場合、「電力・ガス取引監視等委員会」による審査の上で、経済産業大臣の認可を受ける必要があります。

各電力会社が国に値上げを申請し、厳格な査定を行ったのち、値上げに正当性があるとみなされた場合に申請が許可されます。


「電力会社が値上げを申請」というニュースを目にしたら、ご自身が利用している電力会社が値上げを申請しているか確認してみましょう。今後の電気代高騰に備えることができるかもしれません。


https://www3.nhk.or.jp/news/html/20230516/k10014068721000.html

電気料金についての制度や電力自由化

③従量電灯

従量電灯プランとは、電力自由化前から提供されている一般的な家電向け電気料金プランで 、一般的に上記で紹介した「規制料金」のことを指します。
従量電灯プランは「三段階料金」の従量制となっており、電気の使用量が多いほど、電気料金の単価が高くなります。

従量電灯プランで電力供給を受けている家庭では、一番低い単価の電力使用に抑えることができれば、電気代節約につながります。

 

また、従量電灯は「特定小売供給約款」のプランに当てはまります。東京電力の燃料調整単価推移のグラフをみると、「特定小売供給約款の適用を受ける場合」と「電気需給約款[低圧]の適用を受ける場合」の二つのグラフがあります。

燃料費調整単価等一覧|燃料費調整制度(個人)2|東京電力エナジーパートナー株式会社

https://www.tepco.co.jp/ep/private/fuelcost2/newlist/index-j.html


従量電灯プランの場合は「特定小売供給約款の適用を受ける場合」のグラフを参考にすればよいということになります。

どちらに当てはまるかは契約しているプランによって異なるため、迷ったら一度ご自身のプランを確認してみましょう。

特定小売供給約款のプランとは何ですか | 東京電力エナジーパートナー

低圧の電気需給約款とは何ですか | 東京電力エナジーパートナー

 

④低圧電力プランと従量電灯プラン


まずは前提として、電力プランは一般的に「高圧電力」と「低圧電力」に分かれています。
大きな違いは、契約電力が50kW以上か未満かという点です。
高圧電力は主にビルや工場などで契約される50kW以上のプラン、低圧電力は50kW未満のプランです。
家庭で契約する場合はほとんどが低圧に当てはまりますが、低圧はさらに「動力」と「電灯」の区分けがあります。 それが低圧電力プラン(動力)と従量電灯(電灯)プランです。

低圧電力プラン(動力):供給電圧200Vで、業務用の電気設備を使用する場合に適しているプラン

従量電灯(電灯):供給電圧100Vで、一般家庭で使用する家電などを使用する際に適しているプラン

電気料金のしくみ

電気料金は様々な区分けがあり複雑ですが、自分がどのプランに当てはまっているのかなどを一度整理してみましょう。電気代節約のヒントにつながるかもしれません。

各電力会社の電気料金値上げへの動き

2022年の急激な燃料費高騰は燃料費調整単価だけでなく、それ以降の日本の電気料金に大きな影響を及ぼしました。

 

2023年6月の電気料金一斉値上げ

2023年6月1日より、大手電力会社7社による電気料金の値上げが実施されました。

各社平均値上げ幅は以下の表の通りです。

2023年6月大手電力会社7社平均引き上げ幅

 

2023年6月の電気代値上げはなぜ起こったのか

2023年6月の電気料金値上げの背景には何があるのでしょうか。
冒頭でご紹介した燃料費調整単価の推移をもう一度ご覧ください。

燃料費調整単価の推移2022~2024年4月

2022年9月から2023年1月まで5.13と同じ単価が続いています。これは、単価が毎月同じだったというわけではなく、燃料費調整単価が上限に達していることを表しています。


2023年1月分の東京電力の燃料費調整についてのお知らせにも以下のような記載があります。
※5 平均燃料価格が上限価格(66,300円/kl)を超えたため、平均燃料価格を66,300円/klとして算定しています。

参考:2023年1月分電気料金の燃料費調整について

https://www.tepco.co.jp/ep/notice/pressrelease/2022/1664373_8667.html

 

先にお伝えした通り、規制料金プランには燃料費調整単価の上限が設定されているため、 この2022年9月から2023年1月までの間の上限を超えた分の費用は電力会社が負担することになります。

この間の電力会社が燃料費を負担した分の赤字や、今後も燃料費が高騰する可能性を考慮し、大手電力会社7社が電気料金の値上げを申請することになりました。

申請を受けて国は査定を行い、当初電力会社が希望していた値上げ幅よりも圧縮しながらも、値上げを許可し、2023年6月1日より値上げが実施されることになりました。

 

自由料金より規制料金が安い?!
2022年9月から2023年1月の期間、規制料金の燃料調整額が上限を超えるほどの燃料費の高騰により、家庭だけでなく電力会社にも打撃を与えましたが、この間自由料金はどうなっていたのでしょうか。

電力自由化が始まった2016年4月以降、家庭用電気料金の月別単価は自由料金が規制料金を継続して下回っていましたが、2023年9月以降、自由料金が規制料金を上回りました。

自由料金は燃料調整額に上限設定の義務がないため、燃料費が高騰した分をそのまま反映した結果、規制料金を超えるまで電気料金が高騰してしまいました。

2024年現在は、燃料費高騰が落ち着き、逆転現象が解消されつつありますが、新しく電気料金プランを契約する場合は内容をよくチェックすることがおすすめです!

国の電気代高騰に対する補助

昨今の電気代の高騰を受け、政府は2023年1月使用分から「電気・ガス価格激変緩和対策事業」を実施しました。ここからは電気代の補助についてご紹介いたします。

電気・ガス価格激変緩和対策

補助内容は以下の表のとおりです。

電気・ガス価格激変緩和対策値引き単価

参照:資源エネルギー庁「電気・ガス価格激変緩和対策事業」

https://denkigas-gekihenkanwa.go.jp/

 

2024年5月からは激変緩和の幅が縮小されることが決まっています。低圧の場合、現在3.5円/kWhの値引きがありますが、5月から1.8円/kWhに減額されます.
電気代高騰が落ち着いてきたとはいえ、電気代の負担はこれからも続く見通しです。

 

【最新】2024年4月の電気料金改定

2024年4月より大手電力会社による電気料金改定が行われます。

2024年4月~電気代単価改定

電気代、7社が値上げ 送電線の整備費加算 – 日本経済新聞

託送料金が料金改定に関係している

2024年4月の電力料金改定には「託送料金」が関係しています。

託送料金とは、電気事業者が送配電事業者に支払う、送配電網を使用する料金のことです。託送料金は家庭向け電気料金の30~40%を占めており、電気料金に大きく影響するもののひとつです。

レベニューキャップ制度とは

2023年4月より「レベニューキャップ制度」という新しい託送料金制度が開始されました。これまでの託送料金の仕組みは、発電・送電・人件費などの費用に一定の利潤を上乗せした金額を託送料金とする総括原価方式で、送配電事業者には利益が保証されていました。
しかし、レベニューキャップ制度の導入がされたことで、送配電事業者は利益の保証がなくなり、利益を生み出すためには、コストカットなどの各社の取り組みが必要になりました。

各送配電業者による託送料金の見直しにより、電力会社が支払う託送料金に影響し、電気料金改定につながっています。

まとめ

電気代の補助が始まり、近頃は電気代の請求額が少し落ち着いたと感じる方も中にはいらっしゃると思います。しかし、国の補助も2023年10月使用分以降は継続されるかは不明です。この記事では電気料金高騰の原因と今後の値上げの動きについてご紹介しました。今後も国と各電力会社の動きについて要チェックです。

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