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2023年12月25日

太陽光発電で酸性雨のリスクが低減できる?影響と対策について解説

太陽光発電で酸性雨のリスクが低減できる?影響と対策について解説

環境問題のひとつである酸性雨は日本では年々改善傾向にあります。ですが、まだゼロとは言えません。そんな酸性雨の原因や今世界で起こっている影響をご紹介します。そして太陽光発電が酸性雨の発生リスク低減に貢献できることはご存知でしょうか。この記事では太陽光発電による酸性雨への影響や今後の取り組みについてご紹介いたします。

酸性雨の原因と問題の深刻性

雨

酸性雨とは?発生メカニズム

酸性雨とは、通常よりも強い酸性を示す雨や雪、霧のことです。一般的に、pH5.6以下の降水を酸性雨と呼びます。二酸化硫黄や窒素酸化物の排出が主な原因であり、これらが大気中で反応することで、雨が硝酸や硫酸に変化します。
酸性雨は1970年代から被害が顕在化し、河川や湖沼、土壌を酸性化させ、魚などの水生生物や植物などの生態系に悪影響をおよぼす深刻な環境問題です。さらに、コンクリートを溶かしたり、金属に錆を発生させたりするなど、建造物への被害も大きな社会問題となっていて特に発展途上国での被害は深刻です。

酸性雨と雨の違い

通常降る雨にも二酸化硫黄などの酸性の物質は含まれていますが、pH値の違いによって区別されます。pH値とは、酸性かアルカリ性かを表すもので、数値が低くなるほど酸性を表します。中性の値は7pHで、酸性雨は5.6pH以下の雨を指します。

酸性雨の原因

二酸化硫黄や窒素酸化物などの有害物質は、自動車や工場などの活動、化石燃料の燃焼によって大気中に放出され、雨と結びついて硫酸や硝酸に変化し、地表に酸性の雨が降り注ぎます。この現象が繰り返されることで、環境や生態系に深刻な悪影響が生じるため、有害物質の排出削減や再生可能エネルギーへの転換が、酸性雨対策の重要な施策となっています。

酸性雨による影響とは

酸性雨が引き起こす生態系へのダメージ

酸性雨が引き起こす生態系へのダメージは本当に深刻です。森林では葉が変色し、土壌成分が変化して樹木が枯れることがあります。河川や湖では、水質変化によって魚やプランクトンが減少し、生態系が崩れます。また、コンクリートや大理石が溶けたり変色するなど建築物も影響を受けるため、歴史的建造物なども損傷し、文化遺産への損害が生じます。

被害の影響が懸念される酸性雪

雨だけでなく、酸性の物質が混ざった雪を「酸性雪」と呼びます。 酸性雪が積もった場合、雨よりも長い時間滞在することになり、自然へより大きな影響を及ぼす可能性があります。
北アルプスなどでは、冬の季節風により大陸から運ばれた硫酸や硝酸が、日本で発生した汚染物質などとともに送り込まれ酸性雪となり、環境への影響が懸念されています。

世界で酸性雨の影響

酸性雨による影響はヨーロッパ、北米などの先進工業国のほかに、中国、東南アジアなど世界的な規模で発生している。

ヨーロッパ

化石燃料を大量に消費する工業国が集まっており、 硫黄酸化物や窒素酸化物が大気中に大量に排出され、 偏西風に乗って国境を越えて移動するため,酸性雨が広範囲にわたり降っていることが原因となります。

中国

酸性雨の原因の大部分は、地域において排出される硫黄酸化物によるものであり、その特徴として降水中の硫酸イオン濃度が硝酸イオン濃度より数倍高くなっていることが挙げられます。
いま、中国の国土面積の約30%が酸性雨の被害をうけていて、とくに南部地域に被害が集中しています。これは、北部ではもともと土壌のアルカリ性が強く酸性雨が降っても中和されるのですが、南部の土壌はアルカリ性が弱いためだということがわかってきています。

東南アジア

経済成長が著しいアジア諸国では、石炭や石油などの化石燃料をエネルギー源とした工業化が進み、化石燃料の燃焼によるCO2や大気汚染物質の排出量の急増が大きな問題になっています。

酸性雨を減らすために必要なこととは

酸性雨の発生原因を減らす

酸性雨の原因は、工場の稼働や自動車の利用によって発生する大気汚染物質と、火山活動によって発生するガスがあります。
自然発生の火山ガスをとめることはできませんが、人間の活動によって排出されるガスは削減努力をすることができます。

酸性雨を減らすためにできる具体策

酸性雨の原因である二酸化硫黄や窒素化合物の発生を抑えることが大切です。エネルギーは人間の生活になくてはならないものですが、選択次第で個人でも環境へ貢献することが可能です。


具体的には

  • 火力発電を減らすために再生可能エネルギーを選択する
  • 排気ガスの少ない自動車やEVなどを利用する
  • 短い距離であれば徒歩や自転車、公共交通機関を利用する
  • 日常的に節電を心がける

などが挙げられます。一人ひとりが意識することで、多くの効果を生み出します。

太陽光発電が地球に貢献できること

太陽光パネル

再生可能エネルギーの代表:太陽光発電のメリット

太陽光発電は太陽の光エネルギーを直接電気に変換する発電方式で、その膨大なエネルギー量と地球に優しいクリーンエネルギーとして、全世界で注目を集めています。

枯渇する心配のない巨大エネルギー

地球全体に降り注ぐ太陽光エネルギー1時間分は、全世界の年間消費エネルギーに匹敵します 。 また、エネルギー資源のほとんどを輸入に頼っている日本にとって、年々深刻化するエネルギー資源問題の有力な解決策の1つとなっています。

地球に優しいクリーンエネルギー

発電の際に地球温暖化の原因とされるCO2を全く排出しません。 太陽光発電は、石油を燃焼させて電気を起こす火力発電のように、発電時にCO2(二酸化炭素)や、 SOX(硫黄酸化物)、NOX(窒素酸化物)などの大気汚染物質を発生させることがありません。


太陽光の仕組み

引用:宇都宮メガソーラー



また、各国で展開されている補助金や税制優遇が経済的なインセンティブとなり、太陽光発電の普及が進み、持続可能なエネルギーとして大きな注目を集めています。メリットが大きいことから、個人や企業は積極的に太陽光発電の導入を進めています。

世界の太陽光発電の導入例についてご紹介しています。

太陽光発電以外の再生可能エネルギーは何がある?

再生可能エネルギーとは、太陽光などの枯渇せずに永続的に利用できるエネルギーのことです。発電の際に温室効果ガスを排出しないため、地球温暖化を抑える方法の一つとして世界中で需要が広まっています。
再生可能エネルギーは太陽光の他、風力、水力、地熱、バイオマスなどが挙げられます。 各再生可能エネルギーによる発電が広まっていますが、太陽光発電以外は基本的に大規模な発電施設や予算が必要です。太陽光発電は個人で取り入れることができる再生可能エネルギーとして導入が拡大しています。

太陽光発電が酸性雨に及ぼす影響と解決策

ポイント

CO2削減だけでない、太陽光発電の環境への優れた影響

太陽光発電はCO2削減だけでなく、環境への優れた影響があります。酸性雨の原因になる二酸化硫黄や窒素酸化物を排出せず、大気汚染物質の削減に寄与します。酸性雨の発生リスクを低減し、生態系への負荷も軽減されます。再生可能エネルギー普及の一環として太陽光発電を導入することで、持続可能な未来への道を切り開く一助となります。

化石燃料を使わないことが酸性雨対策にどう寄与するか

太陽光発電は化石燃料を使用しないため、酸性雨対策に大きく寄与します。化石燃料の燃焼は、二酸化硫黄や窒素酸化物の発生源であり、これらが大気中で反応して酸性雨を引き起こします。太陽光発電の導入によって、これら有害物質の排出が抑制され、大気汚染が軽減されます。
太陽光発電だけでなく、水力発電や地熱発電など再生可能エネルギーの利用は、地球環境への負荷を減らし、酸性雨などの環境問題に対して積極的な解決策となります

再生可能エネルギーへの個人の取り組み

現代の技術と補助金制度:太陽光発電の普及促進策

日本を含む、各国が進める補助金制度は、太陽光発電の普及に大きく寄与しています。太陽光発電システムの導入には費用がかかりますが、補助金によって設置費用を軽減し、導入者に経済的なメリットをもたらしています。また、最新の太陽光パネルの研究が進んだことで、高効率で低コストな製品が市場に登場し、個人が導入しやすくなっています。


現在日本では、太陽光発電の需給拡大に伴い、太陽光発電のみの導入における国の補助金はありませんが、蓄電池やZEHとの導入で補助金を利用することができます。また来年度より太陽光発電の設置の義務化も始まります。

東京都

東京都では2025年4月から、新築住宅(条件有)への太陽光パネルの義務化が始まるなど、国を挙げて再生可能エネルギーの取り組みが進められています。 太陽光発電設置の義務化に取り組む背景として、「2030年カーボンハーフ」が挙げられます。2030年までに温室効果ガスの排出量を2000年比で50%削減するという公約です。東京都では、CO₂排出量の70%以上が建築物から排出されており、なかでも家庭は29.3%と高い割合を占めています。太陽光発電の導入をはじめとした家庭での省エネが、「2030年カーボンハーフ」実現の鍵になると期待されているのです。


東京都では太陽光発電システムの購入・設置費用を補助する制度が複数用意されています。例えば「東京ゼロエミ住宅」や「災害にも強く健康にも資する断熱・太陽光住宅普及拡大事業」などです。

神奈川県川崎市

神奈川県川崎市では、建築物への太陽光発電設置に関して新たな制度が創設されます。延べ床面積2,000平方メートル未満の建物を新築する事業者が対象となる「特定建築事業者太陽光発電設備導入制度」では、該当するハウスメーカーや工務店に太陽光発電システムの設置が義務付けられます。制度の開始時期は2025年4月です。ただし、建築主が希望しない場合や、建物への設置が難しい場合は、義務化の対象外となる可能性があります。また、事業者にはノルマが課される予定ですが、罰則などは想定されていません。


川崎市では、住宅への太陽光発電システムやHEMS(ホームエネルギーマネジメントシステム)の導入を補助する「スマートハウス補助金」の制度が用意されています。

個人ができる酸性雨対策:エネルギーの選択がもたらす影響

個人ができる酸性雨対策として、再生可能エネルギーへの選択が重要です。太陽光発電や風力発電などのクリーンエネルギーの利用は、二酸化硫黄や窒素酸化物の排出を削減し、酸性雨の発生リスクを低減します。電気車両の導入や省エネルギーな家電の利用も一環として、個々のエネルギー選択が地球環境に与える影響を軽減します。

まとめ

環境汚染の原因となる酸性雨ですが、取り組み次第で減らすことが可能です。再生可能エネルギーを取り入れ、化石燃料の使用を減らすことで、解決につながります。少しずつでも環境に貢献できるよう、再生可能エネルギーについて自分たちがどのような方法で取り入れられるか考えてみましょう!

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